(2020-7-23更新)
1日に敬語をどのくらい使いますか?
「会社はデスクワークが中心で、ほぼ同僚や直属の上司としか会話をしていない」
その直属の上司にも厳密な敬語でなく、なんちゃって「丁寧語」を使っているので、いざ来客対応で敬語を使う場面では、口から出ないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、会社でよく耳にする間違った敬語ピックアップして、どう直せば正しい敬語になるかを解説します。
間違えやすい敬語10選
おられますか?
×「山田さんはおられますか?」
「はい、おります。」
「おられます」とは、謙譲語の「おります」に尊敬語の「れる」をつけたもので、おかしな表現です。
なお、答える側の「はい、おります。」の「おります」は謙譲語なので正しい表現です。
山田さんにへりくだる表現(謙譲語)を使ったのが間違えなので、山田さんを尊敬する、「いる」の尊敬語の「いらっしゃる」を使えば正しい敬語になります。
正しい表現は、次の通りです。
「山田さんはいらっしゃいますか?」
「はい、おります。」
おっしゃられた
×「課長がおっしゃられた」
「おっしゃられた」とは、尊敬語の「おっしゃる」に尊敬語の「られる」をつけたもので、尊敬語を重ねる、いわゆる「二重敬語」」を使ったのが間違えです。
二重敬語を直すには、敬語を重ねず片方だけにすればよいので、通常は後ろの敬語、この例では「られる」を省くことで正しい敬語になります。
この例では、「られる」を省くことで正しい敬語になります。
「課長がおっしゃった」
とんでもございません
「先日のプレゼンテーションは良かったよ」
×「とんでもございません。私なんてまだまだです。」
「とんでもございません」とは、「とんでもない」という1つの単語の「ない」を丁寧語の「ございません」に置き換えたもので、単語として間違えています。
この間違った言葉があまりにも浸透してしまったために、2007年に文部科学省直下の文化審議会が発表した「敬語の指針」では、『相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現として、「とんでもございません(とんでもありません)」を使うことは問題がない』と示されました。
ただし、文部科学省のお墨付きをもらったからといって、胸を張って使っていいかというとそうではなく、本来は間違った言葉であり、特に年配の方は不快に思うこともありますので、使用は控えましょう。
正しい表現は、次の通りです。
「先日のプレゼンテーションは良かったよ」
「とんでもないことです。私なんてまだまだです。」
なります
×「こちらが本日の資料になります」
「なります」とは、状態が変化するときに使うもので、「明日から課長になります」といった使い方をします。
「こちらが本日の資料になります」だと、何かが資料に変化するという意味になり間違えです。
正しい表現は、「こちらが本日の資料です」
了解いたしました
「今日の会議、代わり出てくれる?」
×「了解いたしました」
「了解いたしました」とは、「了解」に丁寧語の「します」をつけたもので、理解・承知する意味ですが、これは丁寧語なので、目上の人に対して使うことは失礼です。
正しい表現は、「承知いたしました」、または「かしこまりました」
のほう
×「その件は山田のほうからご連絡いたします」
×「お箸のほうはお付けしますか?」
「のほう」とは、方角や、AとBとを比較してAのほうといった使い方をしますが、バイト用語(敬語?)として広まり、社会人でも使用する人が多い言葉です。
そもそも無駄な言葉なので、「のほう」を省けば、正しい表現になります。
「その件は山田がご連絡いたします」
「お箸はお付けしますか?」
ご苦労さまです
課長「あとはよろしく!」
×「ご苦労さまです」
ご苦労様は、目上の人からから目下の人に対して使うねぎらいの言葉なので、上司に対して使うことは失礼です。
正しい表現は、次の通りです。
課長「あとはよろしく!」
「お疲れ様です」
役不足
「〇〇プロジェクトを任せたいのだが」
×「私には役不足です」
役不足とは、能力に対して、「役=仕事」が「不足」していることで、「その程度の役割では物足りない」、または「もっと私に相応しい、重要な仕事をしたい」という意味になります。
謙遜したつもりが、逆に傲慢な人間と思われます。
正しい表現は、次の通りです。
「〇〇プロジェクトを任せたいのだが」
「私には力不足です」
ご持参ください
×「資料をご持参ください」
持参とは、元の意味が「持って参る」という謙譲の言葉ですので、持参は謙譲語と解釈されますので、「ご」を付けたところで、尊敬語になる訳ではありません。
ただし、最近では「ご持参ください」を使っても違和感がなくなりつつありますが、それでも正しい敬語表現ではありませんので、控えた方が無難です。
正しい表現は、「資料をお持ちください」
拝見されましたか?
×「資料は拝見されましたか?」
拝見とは、「見る」の謙譲語ですので、これに「する」の尊敬語の「される」を付けたところで、尊敬語になる訳ではありません。
正しい表現は、「資料をご覧いただけましたでしょうか?」、または、「資料をご覧になっていただけましたでしょうか?」
拝見致しました
×「お客様のホームページを拝見致しました」
上記と同様、「見る」の謙譲語に、「する」の謙譲語の「致す」を付けてしまったので、謙譲語を重ねる、「二重敬語」を使ったのが間違えです。
この二重敬語を直すには、「する」を謙譲語にしなければよいので、正しい表現は、
「お客様のホームページを拝見しました」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
実際に、ビジネスの場でもうっかり敬語を間違えてしまう事がよくあります。
この記事で紹介したものは、普段敬語を使っている人も「知らずに使っている」ことが多いです。
ただし、みんなが間違えているからと言って、誤使用が許されるものではなく、言葉遣いに厳しい人や年配の方からは、「敬語が使えない人」と思われてしまいます。
特に、取引先にこのような人がいる場合、誤使用は致命傷になることもありますので、ぜひ正しい敬語を身に付けましょう。
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