(2020-7-1更新)

ITエンジニアの中でも、マシン室(サーバールーム)に閉じこもっているイメージがあるサーバーエンジニア。

毎日サーバールームで何やってるの?

確かにサーバーの運用や保守などのメンテナスン作業をするため、寒いマシン室で作業をし続けることもありますが、コンピュータの異常をチェックしているだけではありません。

また、保守という性質上、年配のエンジニアが多く活躍しているのが、他のITエンジニアとひと味違った特徴があります。

今回は、サーバーエンジニアの仕事内容と将来性について解説します。

サーバーエンジニアとは

サーバーエンジニアとは

サーバーと呼ばれているコンピュータの運用・保守などのメンテナンス作業から、設計・構築といった開発作業を行う職業のことです。

例えば、企業でWEBサイト用のサーバーを構築したいと思ったら、

  • サーバーの選定
  • アプリケーションの選定
  • 置き場所
  • 配線図

などを決める必要があり、また、購入したサーバーを動くようにセッティングする必要がありますね。

また、完成したサーバーが、「毎日ちゃんと動いているか」「追加設定作業」なども、サーバーエンジニアが「運用・保守作業」として行います。

なお、場合によっては自ら設計・構築したサーバーを、導入後は自ら運用・保守する、「自分で作ったサーバーを運用・保守する」こともあります。

【サーバーの種類(一例)】

  • WEBサーバー:インターネットのホームページ
  • アプリケーションサーバー:各種アプリケーション、プログラム動作
  • メールサーバー:メールの送受信、メールボックス
  • ファイルサーバー:ネットワーク上のファイル保管
  • 認証サーバー:ID、パスワードの管理

サーバーエンジニアの仕事内容

1.サーバーの設計・構築(開発)

エンジニアの間では、設計や構築作業を「上流工程」と呼び、顧客の要求仕様に合ったサーバーの開発を行います。

(1)サーバーの設計

設計は、サーバーOSの選定、メモリやハードディスク容量はもちろん、回線速度や電源、さらには、セキュリティなども考慮して行い、基本設計書や詳細設計書を作成します。

(2)サーバーの構築

その後、詳細設計書の通りに、サーバーをマシン室にセッティング(ラッキング)、配線して、OSやアプリケーションのインストールやデータの移行などを行ったり、ユーザーマニュアルを作成したりします。

(3)サーバーの検査・納品

最後の、検査やテストを行い、ユーザーマニュアルなどと一緒に納品します。

2.サーバーの運用・保守

コンピューターサーバー

続いて、運用・保守作業を「下流工程」と呼び、動く状態のサーバーが「ちゃんと動いているか」「異音は無いか」「稼働や異常の報告」を行います。

(1)サーバーの運用

例えば、メールサーバーの運用の場合、新入社員のメールアドレスを作成したり、退職者のメールアドレスを削除したり、業務に応じたデータの追加・変更・削除などを行います。

(2)サーバーの保守

サーバーが正常に稼働しているかの確認や、エラーなどの障害が発生した時に、復旧作業を行ったり、OSやアプリケーションのアップデートを行ったりします。

(3)運用報告書(SLA)の作成

顧客に対して、一定期間の保守内容の報告として、運用報告書(SLA※1)などを作成して報告します。

運用報告書には、稼働状況、エラーやトラブル状況に加え、運用作業なども報告内容になりますが、何を報告するかは顧客との取り決め(契約内容)によります。

なお、管理人が働いていた会社では、毎月上旬(5日頃)に、サービス保守会社と1か月間の運用状況報告会を行っており、毎回、数十ページにも及ぶ分厚い運用報告書を、1ページずつ説明を受けていまして、いつも、「報告書を半分のページに減らして、その分保守料金を下げてくれ」と言っても、保守会社の課長に笑ってごまかされていたのを思い出しました。(笑)

(※1)SLA(Service Level Agreement:サービス水準合意書)とは、顧客とサービスの提供者で合意されるサービス水準に関する合意のことで、つまり、保守内容を契約で取り決め、その内容に沿って保守することをいいます。

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(下に続く)

サーバーエンジニアになるために

サーバーエンジニアに向いている人

サーバーは動いていて当たりまえ」と考える人が多く、不具合やトラブルを避ける慎重さが求められます。

このため、ソフトウェアの更新などを行う前に、まずテストサーバーなどでテストして問題が無いことを確認してから実機に導入をするなど、堅実で慎重に行動できる人が向いています。

また、サーバーが「いつもと違う音がする」「重い気がする」など、小さなことや些細なことでも気づけるようになることが信頼されるために必要です。

このようなことを怠ると、重大トラブルに発展することもあります。

サーバーエンジニアの資格

サーバーエンジニアの資格は多く、保有していることで能力が証明できますので、積極的に取得したいところです。

なお、OS系は、Windows ServerとLinuxがありますが、Linuxは無料のOSでシェアが高いので、LPICは必須になると思われます。

【 OS系 】
マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)

試験名 レベル 内容
MTA エントリーレベル 基本的な技術概念の知識を求めている人を対象
MCSA プロフェッショナル 情報技術環境においてエントリーレベルの仕事を求める人を対象
MCSE エキスパート オンプレミスとクラウドの両方の複数のテクノロジにわたる革新的なソリューションを構築する能力を実証しようとするITプロフェッショナルを対象

LPIC

試験名 内容
レベル1 実務で必要なLinuxの基本操作とシステム管理が行えるレベル
レベル2 Linuxのシステムデザイン、ネットワーク構築において、企画、導入、維持、トラブルシューティング、キャパシティプランニングができるレベル
レベル3 以下3種類のエキスパートレベル

300試験:Linux、Windows、Unixが混在するシステムの設計、構築、運用・保守

303試験:セキュリティレベルの高いコンピュータシステムの設計、構築、運用・保守

304試験:クラウドコンピューティングシステム(クラウド)の設計、構築、運用・保守

【 IT全般 】

情報処理技術者試験

試験名 内容
ITパスポート試験 情報技術に関する基礎的な知識を持つレベル
基本情報技術者試験 高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能を持つレベル
応用情報技術者試験 高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を持つレベル
ネットワークスペシャリスト ネットワークの固有技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に適合した大規模かつ堅牢なネットワークシステムを構築し運用できるスペシャリスト
情報処理安全確保支援士試験(旧、情報セキュリティスペシャリスト試験) 情報セキュリティに関する知識・技能を有するスペシャリスト

【 ネットワーク系 】

シスコ技術者認定

試験名 内容
CCNA各試験 ネットワーキング認定資格の基礎レベル
CCNP各試験 ネットワーキング認定資格の中級レベル

未経験は運用・保守からスタート

サーバーエンジニアとして初めて働くときは、まずは運用・保守からスタートすることになります。

運用・保守は、複数人のチームで行うことが多く、保守マニュアルが備わっている所が多いため、未経験からでも入り易く、運用・保守で経験を積みながら、資格を取り、設計・構築(開発)にステップアップすることができます。

(下に続く)

サーバーエンジニアの給料

サーバーエンジニアの年収は、

  • 設計・開発:400~600万円
  • 運用・保守:300~500万円

と年齢や経験で大きく差が付きますので、知識と経験を積んで給料を上げることが可能です。

サーバーエンジニアは定年まで働ける職業

サーバーエンジニアは、経験と知識を積むと、開発(設計・構築)も行い運用・保守も行うようになるので、なかなか代替がきかなくなるので重宝されます。

また、運用・保守の性質上、1か所で長く働いてもらうことが期待されますので、実際に、10~20年も同じマシン室で運用・保守をしている人たちが多くいて、ITエンジニアの中では、定年まで働ける職業と言っていいでしょう。

ただし、運用・保守だけでは厳しいので、開発(設計・構築)を行ったり、ネットワークの知識を身に付けたりして、自分の価値を高めることが重要になります。

ネットワークスペシャリストになり給料アップを!

サーバーエンジニアと切っても切れない関係のネットワークエンジニアを兼ねることもあり、ネットワークスペシャリストを取得して、サーバーとネットワーク両方のスペシャリストになることで、年収が500~800万円と大幅に上がることも期待できます。

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(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

サーバーエンジニアの仕事内容が理解できたと思います。

様々な種類のサーバーの設計・構築から、運用・保守まで幅広い内容を担うのがサーバーエンジニアです。

実務では、「開発」と「運用・保守」に分かれることが多く、運用・保守の方が入門者に向いていますので、経験を積んで開発を覚えるというステップアップをすることができます。

また、長期にわたって働くことができますので、ITエンジニアの中では定年まで頑張る人も多いのが特徴です。