(2020-4-21更新)
転職の応募書類で必須の職務経歴書ですが、履歴書に比べ定型ではないため作成に手間がかかります。
特に、社会経験が長くなると、「やってきたこと」が多すぎるので、「大雑把で適当」に書きたくなってしまいますね。
ただし、採用担当者が一番重視するのが職務経歴書です。
「長々と書くと読んでもらえない」
「シンプル過ぎるとアピール不足」
このように過不足なく、読みやすい職務経歴書を作成するには、ちょっとしたコツがあります。
今回は、職務経歴書の書き方やアピールのコツを解説します。
目次
職務経歴書とは
求人への応募書類の一つで、応募者(求職者)がこれまで培ってきた職務経験やスキルを記載したものです。
正社員や契約社員、派遣社員の場合は、応募書類として、履歴書と職務経歴書をセットで求人先企業に提出するのが慣例ですが、パートタイムやアルバイトでは職務経歴書は必要とされていません。
ただし、事務系ではパートタイムでも職務経歴書が必要な場合がありますので、事務職希望なら準備しておくと慌てないで済みます。
履歴書との違いは?
履歴書は、学歴・職歴など「過去の歩み」が中心なので、「具体的に何をしてきたか」が分かりません。
例えば、前職が経理部出身でも、
- 決算ができるのか?
- 売掛金の請求や入金をしてきた
- 各種伝票の起票をしてきた
具体的な業務内容を読み取ることができません。
これに対して職務経歴書は、具体的に「何をしてきたか?」、「何ができるか?」を記載する書類なので、
- こういうスキルがある人が欲しい
- この経験がある人を探している
このような、配属先からの具体的な要求を満たしているかを判断するためには、職務経歴書を見ないと分かりません。
つまり、「やってきた仕事」、「何ができるか」を過不足なく記載しないと、書類選考を通過することができなくなってしまうのです。
職務経歴書はどんなことを書くのか?
職務経歴書は、上記の写真のような構成(クリックで拡大します)で、
- 「職務経歴書」というタイトル
- 氏名、住所、連絡先
- 略歴
- 会社概要
- 職務経歴の明細
- 「活かせる経歴・知識」
- 「自己PR」
を記入しますが、履歴書と違い統一されたフォーマットが存在しません。
記載項目は上記を満たしていれば問題ないので、レイアウトを工夫して、自分らしさをアピールした特徴ある職務経歴書を作りたいですね。
ただし、奇抜なレイアウトにすると逆にイメージダウンすることもあるので、応募先の社風などに応じて、常識の範囲内にとどめておきましょう。
なお、デザイナーなど一部の職業を除いて、職務経歴書は2ページにまとめる方がベターです。
(採用担当者が、2ページを1ページに集約して縮小コピーすることが多いので、気遣いをしたいところです)
職務経歴書の書き方
1.職務経歴書というタイトル
「職務経歴書」というタイトルの飾り付けに決まりはありませんので、お好みで、下線や括弧、囲い文字などにしましょう。
また、文字の大きさを太字で大きくすると目立ちますね。
- 下線:職務経歴書
- 隅付き括弧:【職務経歴書】
- □囲み:(上記、写真の見本)
2.氏名、連絡先
記載項目は、次の通りです。
- 氏名
郵便番号、住所- 電話番号(自宅+携帯電話、携帯電話のみも可)
- E-mailアドレス
以前は「住所」の記載を推奨していましたが、個人情報保護により、むやみに個人情報を書かないことが最近の主流なので、職務経歴書の住所は省きます。
なお、E-mailアドレスに、「k〇tty」などアニメやキャラクターの名前などが含まれている場合、転職活動用に新しいアドレスを取得しましょう!
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3.略歴は短く自分の歩みをまとめる
何という会社で何年間、どんな仕事をしてきたかを3~5行でまとめます。
ここでのポイントは、短い文章で次の内容をアピールできるかが合否を分けます。
- 何をできる人物なのか?
- 活かせるスキルは何か?
この数行で、あなたがどんな職歴をもった人物かが判断されてしまう重要な部分であり、採用担当者がこの略歴だけ読んで不採用者を振るい落とすことだってありますので、、自己分析をしっかり行い、短い文章にアピールポイントをまとめる能力が試されます。
4.会社概要
採用担当者は、日本のすべての会社を把握している事はありませんので、経験した会社の情報を記入しておきます。
- 会社名(略さず正式名称で)
- 事業内容(10~20文字で端的に)
- 資本金
- 従業員数
5.職務経歴の明細
職歴経歴の明細は、どんな仕事をしたか、どんなプロジェクトをしたかを年表で分かりやすく書きます。
採用担当者は、ここを読んで「何をしてきたか」「何ができる人」か判断するほど重視されます。
時系列か逆時系列かを決める
書き始める前に、職務経歴をどのような順番で書くかを決めます。
- 入社から順番に書く方法(時系列)
→入社から順番に書くことで、成長過程が分かりやすい - 直近から遡って書く方法(逆時系列)
→直前の仕事内容をアピールしやすい
若い人は、入社して「これを学んで」「あれを経験して」と、自身の成長過程を採用担当者に伝えやすく、「少しずつ成長しているな」とアピールすることができます。
これに対して、30代後半や40代、50代の人は、昔のことより「直近で何をしたのか」「何ができるのか」が問われますので、一番伝えたい直前の仕事内容を最初に書く方がキャリアを伝えやすいです。
- 経歴の少ない:時系列(入社時の経歴から順番に書く方法)
- 経歴が多い、直近をアピールしたい:逆時系列(直近の経歴から遡って書く方法)
実際に、採用担当者は多くの応募書類経歴の上の方はしっかり読み、下に行くにつれて「ナナメ読み」をされてしまうことがあるので、「肝心な部分が読まれなかった」という心配をしないで済みます。
明細は具体的に書く
明細の書き方は次の通り、具体的かつ明確さが求められます。
- やってきた仕事内容を箇条書きにする
- 専門用語を使う時は注釈を書く
- 実績を数字で表す
長々と書いたり曖昧な表現を使ったりすると、採用担当者が「何ができる人物」か判断できず、他の応募者に比べて見劣りしてしまう恐れがあります。
また、実績を数字で書くことでイメージしやすくなるので、できるだけ数字を織り交ぜることが望まれます。
具体的な実績のアピール例は、以下の通りです。
- 年間販売件数30件(目標20件)、営業部内2位で部長表彰受賞
- 〇〇業務の改善で、年間改善金額100万円達成
- 〇〇教育の実施(2回/年)
- 年間15件の改善提案を行い部長表彰受賞
- 作業時間を5%削減した
「数字で実績を書く」と聞くと受注や売上を想像してしまいますが、改善提案や教育訓練なども数字で表すことができますので、振り返って探してみてください。
エンジニアの場合
エンジニアの人でプロジェクトに関わって仕事をすると、経歴を時間軸で書き表わすのが難しいと思います。
こんな場合は、職務経歴をプロジェクト別にまとめると分かりやすく、何を経験したかが一目で分かるメリットがあります。
プロジェクト別で書く内容は、次の内容です。
- プロジェクト内容
- 役割
- プロジェクトメンバー人数
- 自分の担当業務
- 開発言語やアプリケーション
また、予算やスケジュールなどで計画を上回った場合は併せて記載しましょう。
6.活かせる経歴・知識
業務上必要なスキル、資格、PCスキルなどを記入します。
特に、エンジニアなどで、使用言語、OS、アプリケーションなどのスキルは、スキルのレベルを含めてできるだけ多く書くことがコツです。
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スキル名は正式名称で書くこと
例えば、採用担当者が「Oracle Database」をできる人を採用したい時は、職務経歴書に「Oracle Database」の文字が入っている人から順番に面接をすることがあります。
最近はWEBやメールで応募するので、職務経歴書をデータで提出します。
データなので、欲しいスキル名を「検索」して該当した人を探すことができるため、スキル名は「正式名称」で書かないと、検索でヒットしませんので注意しましょう。
なお、資格やスキルの名称が長すぎる時は、正式名称の横に通称名称を併記すれば分かりやすいです。
(記入例)
秘書技能検定試験2級(秘書検定2級)
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PCスキルは必須
転職先でPCを使う仕事に応募する場合は、「PCスキル」は必ず書きます。
「採用したらPCが使えなくて仕事にならない」
と配属先から苦情が来ることがあるので、面接官も最低限のPCスキルがあるか知りたがっていますので、PCスキルレベルを記載します。
- 基本的なパソコン操作やメールが使えるか
- Office系ソフト(Word、Excel)が使えるか
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7.自己PR
自己PRは、仕事に対する姿勢や採用されたらどんな貢献ができるかなど、もう一押ししたいことを5行前後でまとめます。
特に、顧客や社内での評価など客観的にどんな人物か分かる内容があると、採用担当者があなたをイメージしやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
職務経歴書は、「何をしてきたか?」、「何ができるか?」をアピールするための応募書類です。
採用担当者が見て、どんな応募者かがイメージできるように、簡潔にまとめつつ、実績を分かりやすくアピールすることが重要です。
ただし、「やってきたことを全部書こう」と、ぎっしり詰め込んで書いてしまうと、読まれず不合格となってしまうので注意をしましょう。
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大変参考になりました。
職務経歴書は面倒なものと思っていましたが、職務経歴書の書き方ひとつで面接にたどり着くか、書類選考落ちなのかが分かれるんですね。
受かろうと頑張って書き過ぎると人事の人が「長くて読むのが嫌になっちゃう」なんてことに成りかねない。。。何とも絶妙なバランスが要求される訳で!
何はともあれ、採用されたので御礼まで。
職務経歴書で、経歴が多い人が上手にアピールする方法は、伝えたい経歴と軽く流したい経歴のメリハリを付けることです。
一番アピールしたい経歴をしっかり伝える。
どうでもいい経歴は、さらっと書く。
連投でスミマセン。
職務経歴書に書くのは、社員や派遣社員のものだけですか?
パート時代(1年程度)の経歴も書くのがよろしいですか?
書かないと、経歴に空白が空いてしまいそうですね・・・
職務経歴書の職歴は、雇用形態に関わらず「すべて」の経歴を書くことが基本です。
ただし、つなぎでパート・アルバイトをしていた部分は、簡潔に書きましょう。
電話で応募したら、履歴書持参で来てくださいと言われましたが、職務経歴書は必要ですか?
コメントありがとうございます。
鈴木さんがどのような求人に応募したかわかりかねますが、中途採用で社員・契約社員などは必要な場合が多いです。
電話応募して「履歴書」としか言われなかったら、履歴書だけで大丈夫と思われます。(推測ですが・・・)
職務経歴書は実績が出にくい事務職のような人たち向けの書き方を解説していただけると助かるのですが。
第二新卒の人は書くことが無い、逆に中高年の人は多過ぎて書ききれない・・職務経歴書あるあるですね。
職務経歴書は、経験に応じて書く分量が増えますからね。
少ない人は少ないなりの苦労、逆に多い人は多い苦労があると思います。
職務経歴書って作業時間短縮の工夫でもいいんですね。参考になりました。
職務経歴書は「大きな仕事の成果」だけでなく、毎日の小さな改善や心がけも十分アピールできます。
入社後も、毎日のルーチンワークを改善してくれる人は重宝されますからね。
転職が終わっても、頑張って作った職務経歴書を大切に保管しておきたいと思います。
読み返してみると恥ずかしくなってしまいますが、転職時に使った職務経歴書は捨てたくないですね。