時間外手当(残業手当)って残業したら、25%の割増賃金が支払われることは知っていても、正確な仕組みを知らない人は多いと思います。

例えば、9:00~18:00(実働8時間)に、2時間遅刻して、11:00~21:00(実働9時間)まで働いた場合に残業手当を正しく計算できる人は少ないでしょう。

今回は、簡単そうで奥が深い、時間外手当の制度や仕組みについて解説します。

時間外手当(残業手当)とは

時間外手当とは、法定労働時間(1日8時間、または週40時間)を超えて働いた場合に支払われる割増賃金のことをいいます。

時間外手当の割増率

時間外手当:25%

60時間を超えた場合(*1):50%

(*1)1か月間の時間外労働が60時間を超えた場合に支給される割増率で、中小企業では、2023年4月までは25%の割増率です。

時間外手当ほか諸手当の内容については、以下関連記事をご覧ください。

時間外手当(残業手当)が支払われる基準

時間外手当は、1日8時間、または1週間40時間のどちらかを超えたら支払う義務があります。
また、労働基準法では、1週間は日曜日から始まります。

時間外手当が支払われる基準

1日8時間、または1週間40時間のどちらかを超えた場合

1週間の起算日は日曜日


残業手当が支払われるケース

1日8時間以下だが、1週間40時間を超えた場合

残業手当が必要な場合その1

1日の労働時間は8時間以下なので残業手当が発生しませんが、1週間の労働時間の合計が7時間×6日=42時間なので、土曜の勤務時に2時間の残業手当が発生します。

1週間40時間以下だが、1日8時間を超えた日がある場合

残業手当が必要な場合その2

1週間の労働時間の合計が40時間なので残業手当が不要に見えますが、月曜日の労働時間が10時間なので、月曜日に2時間の残業手当が発生します。

遅刻・早退などがあった場合

残業手当が必要な場合その3

まず、月曜日に2時間の残業手当が発生します。

次に、1週間の労働時間の合計が44時間ですが、月曜に2時間残業手当を払った分は除外して、1週間42時間と考え、土曜の勤務時に2時間の残業手当が発生します。

なお、遅刻や早退などの事情は考えず、実労働時間(火曜日は4時間)として計算します。

時間外手当が誤解されやすいケースは?

課長は時間外手当が不要?

管理職には時間外手当を支払う必要はありませんが、それは管理監督者として、「経営者と一体的な立場にある」場合に限られます。

管理監督者の判断基準

管理監督者として相応しい給料が支払われている

人事権(部下の採用や給与決定など)をもっている

勤務時間が本人の自由裁量に任されている

例えば、チェーン店の店長は、多くが一般社員より少し良い程度の待遇なので、「名ばかり管理職」とされ、管理監督者とは認められない場合が多いです。

なお、深夜(22:00~5:00)までに労働させた場合は、管理監督者でも深夜手当を支払う必要があります。




みなし残業(固定残業)制度は残業時間の計算が不要?

みなし残業(固定残業制、定額残業制など)は、給与にあらかじめ一定時間分の残業手当が含まれている制度で、一定時間を超えた残業手当まで払うことが免除される訳ではありません。

例えば、月40時間までの残業手当が給与に含まれている場合、月40時間を超えた残業をした場合には、超えた部分の残業手当を払う義務があります。

みなし残業(固定残業)制度でも残業手当が必要な場合

【例】月給25万円(月40時間分の残業手当を含む)

1か月の残業時間が60時間なら、20時間の残業手当を支払う

1か月の残業時間が20時間でも、減給無しで、40時間に満たない分を翌月に繰り越しできない

みなし残業制度については、以下関連記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

15分未満の残業は切り捨てられる?

定時間、残業時間共に、労働時間は1分単位で計算しなければならず、切り上げることはできますが、切り捨てをすることはできません。

ただし、1か月間の労働時間を集計して、1時間単位にするために、30分未満の場合は切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることは可能です。

労働時間の端数切り捨て、切り上げ

1日単位では、端数を切り上げできるが、切り捨て不可

1か月単位で、1時間未満の端数を30分未満切り捨て、30分以上を切り上げすることは可能

まとめ

いかがでしたでしょうか。

時間外手当(残業手当)って簡単そうで、なかなか奥が深いことがお分かり頂けましたでしょうか?

経営者や労務の人は、この記事の内容が少しでもお役に立てればと思います。