(2022-5-15更新)

パートタイムで働いている人も、年収130万円以上稼いでしまうと社会保険に入らされるから、収入を計算しながら働いている人も多いと思います。

でも、130万円未満に抑えて働いても、社会保険の加入義務が発生してしまうことをご存知ですか?

働き損しないためにも、正しい知識を身に付けておきたいですね。

今回は、2022年現在のパートタイムの社会保険の加入条件を徹底解説します。

社会保険とは

パートタイムの社会保険加入

社会保険とは、病気や介護、高齢化、失業などのリスクに備えて、加入者(労働者)と加入者を雇っている雇用者が、掛金を供出して備える保険制度をいいます。

具体的には、次の5つの保険制度のことです。

  1. 健康保険
  2. 介護保険
  3. 厚生年金保険
  4. 雇用保険
  5. 労災保険

ただし、保険制度によって加入条件や保険料が異なります。

  • 健康保険、介護保険、厚生年金保険・・・加入条件(その1)か(その2)を満たす【下で解説】
  • 雇用保険・・・週20時間以上の勤務で加入対象になり、保険料も数百円(0.3%負担)
  • 労災保険・・・基本的に全員加入対象ですが、保険料は事業者(会社)が全額負担

それでは、健康保険、介護保険、厚生年金保険の3つの保険の加入条件を解説します。

社会保険の加入条件(健康、介護、年金)

事業所による加入条件(適用事業所)

社会保険は、すべての労働者が入る義務があるわけではなく、以下図の通り、加入義務がある事業所と、義務が無い事業所があります。

社会保険の適用事業所

つまり、株式会社などの法人はすべて対象で、個人事業主でも従業員が常時5人以上いる場合は、飲食店などを除いて加入しなければなりません。

個人別加入条件

次の加入条件(その1)か(その2)どちらかを満たすと加入義務があります。

加入条件(その1)
  • 所定労働時間(※1)が、社員の3/4以上
    (例えば、社員の所定労働時間が週40時間であれば、30時間で該当する)
  • ただし、「2か月以内の期間を定めて働く人」は除く。(2か月を超えて勤務したら加入)

加入条件(その1)は、従来からのもので、この基準を満たすだけで加入となります。

また平成28年10月からは、以下の条件を満たすと加入の対象となりました。

加入条件(その2)2022年9月まで

次の1~5までの条件を全て満たすと対象になります。

  1. 所定労働時間(※1)が、週20時間以上(残業除く)
  2. 1か月の給料が、88,000円以上(残業代や交通費など除く)
  3. 1年以上の雇用見込みがある
  4. 学生ではない
  5. 従業員が501人以上の会社で働いている、または、
    従業員が500人以下の会社でも、労使間で社会保険に加入する合意がされている

(※1)所定労働時間とは、雇用契約で取り決めている定時の勤務時間で、残業や休日出勤などは含みません。

通常は、労働時間が社員の3/4以上(週30時間前後)で加入しなければなりませんが、従業員が501人以上の会社の場合、週20時間労働月88,000円以上稼いでしまうと加入させられてしまいます。

2022年10月から適用範囲が拡大

2022年(令和4年)10月から、社会保険の適用範囲が拡大し、今まで加入できなかった人が加入できるようになります。

具体的な変更内容は以下の通りです。

2022年10月からの変更内容
  • 雇用期間:(変更前)1年以上、(変更後)2か月以上
  • 事業所規模:(変更前)501人以上、(変更後)101人以上

2024年10月から適用範囲がさらに拡大

さらに、2022年(令和4年)10月から、社会保険の適用範囲がさらに拡大します。

具体的な変更内容は以下の通りです。

2024年10月からの変更内容
  • 雇用期間:2か月以上
  • 事業所規模:(変更前)101人以上、(変更後)51人以上

対象となる社会保険は?

上記の加入条件(その1)か(その2)のどちらかを満たすと、次の3つの保険にセットで加入することになります。

  1. 健康保険
  2. 介護保険(40歳以上の場合)
  3. 厚生年金保険

これらは、選択して個別に加入することができませんので、条件を満たしたら全て加入されてしまします。

ただし、介護保険は40歳の誕生日の前日が属する月から加入となり、保険料の徴収が始まります。

【関連記事】

雇用保険の仕組みと加入条件を分かりやすく解説

(下に続く)

社会保険料はいくら?

社会保険証

社会保険料は、「協会けんぽ(全国健康保険協会)」と、大企業が独自に設置している「〇〇株式会社健康保険組合」と2種類があります。

健康保険料

協会けんぽの場合、住んでいる都道府県によって異なりますが、10%程度で、労働者は半分の5%負担です。

【東京都2018年】保険料は9.9%(労働者4.95%、雇用者4.95%)です。

介護保険料

協会けんぽの場合、全国一律で1.57%で、労働者は半分の0.785%負担です。

厚生年金保険

協会けんぽの場合、全国一律18.3%で、労働者は半分の9.15%負担です。

負担額(合計)

健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料を合計すると、毎月の負担額は以下の通りです。

社会保険負担額

【40歳以上】

  • 保険料は約15%(東京都14.935%)
  • 月10万円の給料だと、約15,000円の負担になります。

【40歳未満】

  • 保険料は約14.2%(東京都14.1%)
  • 月10万円の給料だと、約14,200円の負担になります。

 

106万円を超えたらいくら働けばいい?

パートタイムで社会保険に加入することになったら、月10万円の給料でも毎月15,000円の社会保険料の負担が発生しますが、では、いくら稼げば社会保険加入前の手取りより収入が増えるのでしょうか?

手取り収入を計算してみる!

社会保険に加入したら、126万円を超えて働かないと手取り減!

年収126万円の場合、社会保険料18万5千円、所得税3,000円、住民税1万4千円の計20万2千円引かれます。

なお、2018年度から旦那の給料から控除できる「配偶者特別控除(38万円)」が、妻の年収が103万円を超えると徐々に減ってきましたが、この103万円が150万円に引き上げられました。

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税金や保険料だけでない!給与から引かれるお金を分かりやすく解説

(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

社会保険の加入基準が引き下げられたので、せっかく加入したのでたくさん働こうと考える人も増えてくると思います。

今後は、社会保険の加入基準がさらに引き下げられる可能性もありますので、この機会にフルタイムで働くことも検討してみてはいかがでしょうか。

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