(2020-8-7更新)

転職活動で頑張って内定を勝ち取っても、まだ安心できません。

なぜなら、新しい会社と約束した入社日までに退職しなければならないからです。

会社によって「辞めやすい」、「辞めにくい」特徴があると思いますが、内定をもらった以上、入社予定日までに確実に辞めなければなりません。

最近「退職代行サービス」を目にすることが増えてきましたが、それだけ退職することは難しいことだからです。

今回は、円満退社するために、退職交渉で引き止められた時の正しい対処法を解説します。

何故、企業は退職を引き止めるのか?

会社に退職したいと伝えた時に、「はい、どうぞ!」と受け入れてくれるならいいですが、難色を示されたり引き止められたりするのではないでしょうか?

辞めたいのだから、嫌な顔されずに聞いて欲しい

辞める人は、次の会社や仕事のことで頭がいっぱいですが、残された会社や上司は辞められた影響を考えると「できれば残って欲しい」と考えことが多いです。

会社側が退職者を引き止めるのは、具体的に次の3の理由が考えれます。

部署の同僚や上司の負担がかかるから

どの企業もギリギリの人員で業務を回しているでしょうから、退職者が出ると、その分の負担が同僚や上司に降りかかってきます。

もちろん、代わりの人材を他の部署から回してもらうか、採用して補充を行いますが、その人物が、あなたと同等の能力があるとは限らないし、能力があっても一人前になるまでは、周りのフォローが必要になりますので、結局は上司や同僚の負担が増えてしまいます。

会社や職場のモチベーションが下がるから

社内で退職者が出ると、「あの人が辞めるとは・・・」と同僚や他の社員に悪影響を与えます。
特に、優秀な人物が辞めてしまったら、「うちの会社ヤバイのでは?」と別の社員の退職を誘発することもあります。

また、人員を増やさずに、退職者の業務を周囲に振り分けて、個人の負担を重くしてしまったら、残された従業員のモチベーションは、一気に下がってしまいます。

上司本人の評価が下がるから

部署内で退職者が出ると、上司の管理能力が問題になることがあります。

「何故、事前に引き止められなかった」

特に、優秀な部下を退職されてしまった場合は、「上司の人望がないから退職された」と管理責任を取らせることもあります。

このため、部下が退職を申し出た時は、上司は自分の評価のために引き止めようとします。

よくある引き止め方法と4つの対処法

退職で引き止められた時に行う対処方法

1.会社にとって必要な存在と言われる

退職したいと会社に伝えたところ、

  • 君の将来に期待して、大事な仕事も任せていたのに
  • 君がいないと仕事が回らなくなる

あなたが必要な人材であること、評価していることを情に訴えて、退職を思い留まらせようとすることが引き止めの常とう手段です。

もちろん、会社側が「本当に必要としている」と考えているのか、このセリフは建前で「たいして期待していない」のか、実際のところは分かりかねますが、あなたが会社からどういう扱いを受けてきたかで推測をするしかありません。

ただし、会社から期待されていると言われたところで、意思が揺らいでしまってはいけません。

対処法は?

会社から「必要だ」「将来に期待している」などと言われると嬉しくなってしまいますが、ここで意思が揺らいでしまっては退職できなくなってしまいます。

そうならないために「退職の意志は固いこと」をはっきり言い、ステップアップや新しい仕事へ挑戦したいためと前向きな理由を伝えます。

ここでのポイントは、やりたい仕事が今の会社では叶わないことです。

例えば、企画の仕事がしたいなら、勤めている会社に「企画部門」が存在しないことで、仮に、社内に企画部門があったら、「異動させるから残れ」と言われた時に、断る理由が無くなってしまいます。

退職交渉で「あなたが必要」と言われた時の対応
  • 退職の意志が固いことを伝える
  • ステップアップなど前向きな理由を伝える
  • 社内で希望が叶わない理由を選ぶ

2.転職は失敗すると不安にさせる

  • 「君の能力では、転職先で苦労する」
  • 「新しい環境では慣れるまでが大変だぞ」

直属の上司は、あたかも「後悔させたくないからアドバイスしている」と親身になって心配してくれるかのように言ってくることもあります。

人生経験、会社経験共に豊富な上司から忠告されると、誰だって「転職で失敗するかも」と不安になったり、「残った方がいいかも」と退職の気持ちが揺らいでしまいます。

対処法は?

「一度きりの人生、悔いの残らないようにチャレンジしたい」

どんなに不安にさせようが、退職の意思は覆らないをはっきり伝えることです。

少しでも心が揺らいだと見られたら、とことん揺さぶってきますので、退職の意思は変わらないことを伝えます。

なお、「決まっているなら社名を教えて」と転職先を聞いてくる場合がありますが、安易に教えてしまうと、転職先に悪いうわさを流されるなどの嫌がらせがあるかもしれませんので気を付けます。

【関連記事】

退職時に転職先を聞かれた時の対処法と正しい答え方

3.給料や職場の変更などを提案される

退職の理由を待遇面や不満を言ってしまったら、待遇の改善や職場の変更を提案して退職を思い留まらせよとします。

ただし、あなたが「よほど失いたくない人物」でない限り、待遇改善などに応じてはいけません。

何故なら、一時的に待遇が改善するかもしれませんが、その後の昇給や昇進で、不利な扱いをされるので、長い目で見るとマイナスになることが考えられるからです。

企業は、ひとりのわがままを許してしまうと、収拾が付かなくなるので、「一度辞めようとした人物」とレッテルを貼って不利な扱いをしてきます。

対処法は?

一度退職を申し出た以上、たとえどんな提案をされようと、退職をする意思に変わりがないことを伝えます。

また、待遇の改善を口約束されても、後日、人事が難色を示したなどと、誤魔化されてしまう事もありますので、甘い罠と思って、断る強い意志を示します。

退職交渉で待遇の不満を言わないこと
  • 給与や待遇面の不満を言う

☞「待遇を改善する」と言われたら、辞める理由がなくなってしまう。

4.後任が決まるまで待って欲しい

退職することは納得されたが、引き続きの都合上、退職日を伸ばしてほしいと言われることもあります。

社内に後任がいない場合、新規に採用した人に引き続きを行いますが、素直に応じてしまうと数か月も待たされる可能性があります。

もちろん、転職先の入社日までの範囲で出来る限り応じる必要がありますが、引継ぎ完了まで長い時間がかってしまい、転職先企業が待ちきれずに内定を取り消されたら、今までの苦労が水の泡です。

対処法は?

「転職先の入社の兼ね合いがあるため、○月〇日までしか引継ぎは出来兼ねます」

とはっきりと伝えることが重要です。

それ以上長い期間引継ぎを要求されたら、

引継ぎのマニュアルを作成して、新人でも分かるようにしておきます

と最大限の誠意を見せれば、会社も納得してくれるでしょう。

(下に続く)

引き止められないために注意すること

引き止められないための注意点

円満退社するために、大切な注意点は4つあります。
どれも、円満退社のために必要なことですので、すべてを実践することが成功の秘訣です。

1.退職したい2か月以上前に相談する

退職願いの提出は、民法では退職日の2週間前と定められており、また、会社によっては就業規則で「1か月前までに申し出る事」などと決めているところもあります。

もちろん、就業規則には従うことは最低限ですが、実際に、1か月前に退職を申し出られても、代替人員の補充や引継ぎなどが間に合わないでしょう。

引継ぎが間に合わないことを理由に、退職を引き止められる口実を与えてしまいますので、退職日の2か月以上前に、直属の上長に相談することが円満退社のコツです。

2.会社の繁盛期に申し出ない

会社によっては、年度末や忙しい季節などがあり、こうした繁盛期に退職を言われると、「この忙しい時期に」と不満に思われてしまいます。

特に、忙しい時期は人間だれしも感情的になりやすいので、普段穏便な上司もピリピリしていることがあるので話し合いが物別れになることも考えられます。

社会人として、会社のことを思いやる心づかいが大切です。

(下に続く)

3.退職理由に給料や待遇など不満を言わない

上司は部下の退職理由を気にしますが、ここで注意することは、会社の待遇や人間関係などの不満を言ってはならないことです。

何故なら、待遇面の不満を言った場合は、「待遇を改善するから残ってくれ」と引き止めの口実を与えてしまうからです。

また、不満を言われたら、上司だって気分が悪いので、これが原因でお互いの関係が悪化してしまい、円満退社できないように妨害してくることだって考えられます。

円満退社をしようとしているのに、会社の不満(悪口)を言うのは、百害あって一利なしです。

4.退職の相談をしない

上司に睨まれたくないからといって、内定が出ているのにもかかわらず、「退職をしようか悩んでいる」と相談を持ちかけてはいけません。

人員過剰で余っている場合や、あなたがお荷物な社員であれば、新しい仕事にチャレンジするのもありと送りだしてくれるでしょうが、通常は、退職相談をしたら引き止められます

期日までに確実に退職したいなら、最初から「退職したい」と固い意志を伝えるべきです。

なお、退職交渉では転職先を聞かれることがありますが、よほど信頼関係がある場合を除いて、社名を答えることはデメリットしかありません。

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(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

転職活動の中で、最後の難関と言われる退職交渉は、会社から嫌われずにスムーズに行う必要があります。

  • 2か月以上前に相談する
  • 繁盛期を避ける
  • 退職理由に不満を言わない
  • 退職の意志は固いことを伝える

これらを実践し、残された直属の上司や同僚に「いかに迷惑をかけない」で辞められるかが円満退社のコツです。

上司に退職を切り出す前に、こう言われたらこう説明すると、事前に想定問答を用意してから退職交渉を行うことが上手なコツですので、しっかり準備してから望みましょう。

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