(2020-3-3更新)

履歴書の賞罰欄ってご存知ですか?

最近の履歴書では、「賞罰欄」が無いものが主流なので見たことがない人もいると思いますが、昔の名残りで学歴・職歴欄にわざわざ「賞罰なし」と記入する人もいます。

アピールにつながる内容でしたら、ぜひ書いておきたいところですが、そもそも賞罰って何を記載するのか分からないですね。

今回は、履歴書の賞罰はどんな基準で記入するのか?書き方を分かりやすく解説します。

賞罰とは何か?

履歴書の賞罰とは?

文字通り賞と罰のことで、「賞」は表彰や勲章歴を、「罰」は犯罪歴、いわゆる前科をいいます。

通常、履歴書はJIS規格に基づいて作成されているので、現在のJIS規格では「賞罰欄」がありません。

なぜ履歴書に賞罰欄が無いのかと言うと、「前科や犯罪歴は名誉、信用なので、みだりに公開されない」という最高裁判所の判決(1981年4月14日「前科照会事件」)があったためです。

また、賞罰の記載を義務付けてしまうと、犯罪歴のある人が就職できなくなってしまうことを防ぐためでもあります。

このため、賞罰欄が無いけど、企業側は応募者の経歴を知った上で選考をしたいと考えているので、

  • 履歴書に記載しておく
  • 面接時に聞かれた時に答える

このどちらかの対応をすることになります。

履歴書に書く場合、「賞」は自己アピールとして任意で記入しますが、「罰」は申告しなかった場合、告知義務違反として、内定取消しや解雇になることがあるので、安易に考える訳にはいきません。

履歴書への書き方

履歴書には賞罰欄が有るものと無いものがあり、賞罰欄が無い場合の記入方法は次の通りです。

【賞罰の書き方】

  1. 職歴の次の行に中央揃えで「賞罰」と記載
  2. 次の行に具体的な賞罰内容を書く
  3. 賞罰が無い場合は、「なし」と書く
  4. 正月が書き終わったら、次の行に右揃えで「以上」と記載

賞罰に該当しないの場合の記入見本は、下の図の通りです。

履歴書への賞罰の書き方

「学歴」、「職歴」に続けて書けばよく、新卒採用で職歴が無い場合は、職歴自体を省いて学歴の次の行から書き始めれば大丈夫です。

賞の書き方

賞を書く基準は後で解説しますが、賞をアピールする場合の具体的な記入例は、下の図の通りです。

履歴書への賞の記入例

罰の書き方

罰についても書く基準は後で解説しますが、具体的な記入例は、下の図の通りです。

履歴書への罰の記入例

罰は書かなればならないか?

罰は「犯罪歴」なので、企業側は把握しておきたいと考えるのが当然のことです。

ただし、罰とはいえ積極的に告知するまで求められていませんので、どうしても書けない事情がある場合は、賞罰欄の無い履歴書を使えばよいのです。

コンビニや文具店で売られている履歴書は、JIS規格に準拠しているため、通常は「賞罰欄」自体存在しませんので、市販の履歴書を使えば書く義務が無くなります。

(下に続く)

面接で聞かれたら答えなければならない

履歴書に賞罰欄が無かったからと安心していても、面接で「罰」を聞かれることがあります。

面接官:「何か賞罰を受けたことがありますか?」

応募者:「・・・」(←これでは不採用です)

 

もし、面接で「罰」を聞かれた場合は、正直に答えないといけませんので、ご自身が該当するかどうか把握しておかなければなりません。

「そもそも罰の基準が分からない」

普段の生活では意識することがなく、知らない人も多いと思いますので、下で説明する「賞罰を記入する基準」で、ご自身が該当するか確認しておけば大丈夫です。

罰といっても、過去に受けたものも全て告知対象ではないので、一生縛られることはありません。

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罰を偽って入社したらどうなる?

ほとんどの企業が就業規則で、懲戒解雇事由を次のように定めていますので、解雇される可能性があります。

  • 「告知義務違反があった場合」
  • 「経歴を偽って採用されたとき」

企業は、嘘、偽りをつく人間を嫌いますので、「いつバレるか」とヒヤヒヤしながら働くよりは、正直に告知しておくことが望ましいのではないでしょうか。

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賞罰を記入する基準

賞の記入基準は全国レベル

例えば、スポーツ大会や芸術・文化のコンクールの入賞などを書くことができますが、全国大会レベルや有名な賞に厳選します。

また、捜査協力や救助など警察や消防署からの感謝状をもらった時も書くようにしましょう。

なお、あまり昔の賞を記入してしまうと、「そんな昔のことをアピールしても・・・」とあまり心証がよくないので、社会人になってからの賞を書いた方がいいでしょう。

賞を書く基準
  • 全国大会レベルの入賞
  • 官公庁からの感謝状
  • 学生時代の賞は書かない

罰は刑事罰を書く

罰については、罰金刑以上の刑罰を記載しなければなりません。

具体的には、懲役、禁固、罰金のことを言いますが、たとえ執行猶予が付いたとしても、刑が免除される訳ではないので罰に含まれます。

また、義務違反や交通違反などの行政罰は除きますが、交通違反でも、いわゆる「赤切符」と呼ばれる反則点数6点以上の重大な違反については、「罰金」が科せられますので記載しなければなりません。

なお、執行猶予が満了したり、刑の効力が消滅すれば、当然に罰では無くなりますので記載不要です。

まとめると以下の表の通りです。

履歴書賞罰の基準

ドライバーの応募は注意

交通違反で「青切符」の場合は、行政罰なので「罰」としては記入不要ですが、ドライバーの求人については、青切符でも企業に告知することが多いので注意です。

ドライバーという職業の特性上、業務中に1点の軽微な違反でも起こされたら問題になりますので、入社時に運転記録証明書(※1)の提出が求められる場合が多いです。

特に、バスやタクシー、トラックの運転手への応募の場合、確実にこの証明書の提出が求められますので、過去の1点の違反でもバレてしまいます。

(※1)運転記録証明書とは、過去1、3、5年間の「交通違反」、「交通事故」、「運転免許の行政処分」の記録についての証明書のことです。

参考リンク:自動車安全運転センター「運転経歴に係る証明書

ドライバーの応募を考えている人は、応募前にご自身の運転記録証明書を確認してみることをお勧めします。(証明書の交付手数料は630円)

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(下に続く)

まとめ

履歴書に賞罰欄が無いものが多いので、意識していなかった人や存在すら知らなかった人もいるともいます。

賞罰まとめ
  • 「賞」:表彰、勲章歴(アピールポイント)
  • 「罰」:犯罪歴(告知義務)

「賞」は、表彰されたことがあっても記入するかは自由ですが、「罰」は履歴書に欄があるときは書かなければならないものです。

また、履歴書に賞罰欄が無くても、面接で聞かれることや、誓約書・雇用契約書に記入させることがあり、この時に「罰」を隠すことは、告知義務違反で懲戒解雇の恐れがありますので、基準を理解しておかなければなりません。

例えば、スピード違反(赤切符)は告知しなくて大丈夫だろうと思い込んでいたが、入社後に発覚してしまい処分されてしまったら、今までの頑張りが水の泡になってしまいます。

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