(2020-7-12更新)

経団連は2018年10月9日、就職採用活動のルール「採用選考に関する指針」(就活指針)を、2021年度卒業の学生から廃止することを正式に決めました。

記者会見で中西会長は、次のように述べております。

「何らかのルールが必要ではあるものの、経団連がルールづくりをしてきたことに抵抗感がある」

今回は、就活指針廃止で大学生の就職活動がどうなってしまうかを解説します。

採用選考に関する指針(就活指針)とは

正式には「採用選考に関する指針」で、大学生と大学院生の採用選考活動の開始時期を定める自主ルールのことをいい、外資系や経団連未加盟の企業は、この指針に拘束されずに採用活動が行われていました。

いつ廃止されるのか?

2021年度卒業(2022年3月)から廃止されますが、2021年度卒は現状維持、2022年度卒は現状維持が検討されています。

現時点で分かっていることは、次の通りです。

  • 2020年度卒業・・・就活指針(3月説明会、6月選考、10月内定)
  • 2021年度卒業・・・政府が現状維持を要請(3月説明会、6月選考、10月内定)
  • 2022年度卒業・・・未定だが現状維持見込み(※1)

(※1)就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議で、「少なくとも 2022 年度(2023 年3月)卒業・修了予定者の就職・採用活動については、現行の就職・採用活動日程を変更する必要が生ずる可能性は高くないであろう」と認識が共有されています。

なぜ就活指針が廃止されるのか?

経団連の中西会長が、9月3日の定例記者会見で次のように述べています。

「経団連が採用選考に関する指針を定め、日程の采配をしていることには違和感を覚える」

と就活指針の廃止の意向を、以前から表明していました。

つまり、就活指針には2つの問題点があったからです。

1.就活指針には強制力がなかった

経団連未加盟企業は従う必要が無かった

就活指針は、経団連に加盟している1,532の企業、団体に対するルールで、未加盟の外資系やベンチャーなどは、そもそも従う必要が無く、就活指針より前倒しで採用活動を行うことが通常であった。

経団連加盟企業に対しても罰則が無かった

また、経団連加盟企業に対しても罰則がないので、事実上「ルール破り」が行われていた。

その証拠に、就活指針では6月から選考開始のはずなのに、経団連加盟企業でさえ、6月に「内々定」を出していたことから、6月以前に選考が行われていたことが分かる。

2.通年採用など従来の新卒一括採用が時代に合わなくなった

通年採用の広がりも影響している。

ファーストリテイリング(ユニクロ)やヤフー、リクルートなど大手企業が大学生の通年採用をしているため、そもそも4月に一括採用する就活指針が合わなくなっている。

(下に続く)

今後の就活はどうなる?

就活の会社説明会

気になる今後の動向は、次の2つのシナリオが考えられるが、少なくともどこかが目安となるスケジュールを定めることになると思われます。

政府が主導(未来投資会議)

未来投資会議など、経済産業省などが中心となり、文部科学省や厚生労働省など他省庁と連携して、さらに大学や企業も巻き込んで経団連の「就活指針」に替わるルール作りを行う。

ただし、採用スケジュールという民間の活動に、政府が主導するのも違和感があるので、政府は前面に出ず裏方から主導する可能性がある。

大学側が主導

就職問題懇談会(国公私立の大学等で構成)や日本私立大学連盟などの大学側主導で、企業に対して採用活動のスケジュールを「お願い」することも考えられる。

特に、就職問題懇談会は、文部科学省に事務局を構えているので、文科省のバックアップも期待できそれなりの影響力を持つと予想できる。

(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

大人の都合で、学生の就職活動がガラリと変わってしまうのは困ったものです。

実際に、就活のスケジュールは変わる可能性がありますが、振り回され過ぎずに出来ることをするのが賢明です。

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