(2020-7-9更新)

2019年4月から、労働条件の明示がメールやFAX、SNSなどの電子情報できるようになったのをご存じですか?

「労働条件通知がメール解禁したら手間が省ける」

「メール到着確認はすべき?」

メール解禁がされても、一方的に送り付けて義務を果たしたという訳にはいきません。

正しい方法で行うことで、採用担当者の負担軽減になるなら導入してみたいですね。

今回は、労働条件通知書の電磁的方法による交付方法と注意点を解説します。

労働条件通知書とは

労働条件通知書

企業が内定者に対して交付する、労働条件が記載された書類のことで、労働基準法では労働契約の締結時に明示することが義務付けられています。

労働条件通知書は内定者に交付されるもので、次の書類とセットで渡されることが多いです。

  • 内定通知書(採用通知書)
  • 内定承諾書(入社承諾書)

雇用契約書との違いは?

労働条件通知書と似ている「雇用契約書」とはどう違うのでしょうか?

  • 労働条件通知書:会社から労働者に対する(一方的な)労働条件の通知
  • 雇用契約書:労働者を雇用する時に交わす契約書で、双方が記名(署名)するもの

ただし、記名欄がある他は記載項目が被っているので、「労働条件通知書兼雇用契約書」などと1つにまとめて交付することも可能です。

法律上明示しなければならない内容は?

労働条件の明示内容

就職、転職どちらの場合でも、労働(雇用)契約締結時までに通知する内容が定められており、特に、次の内容は書面か電子的方法で通知しなければなりません。

  • 契約期間
  • 就業の場所
  • 業務の内容
  • 勤務時間、残業・交代制勤務有無
  • 休日、休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項

なお、内定後の労働条件通知書の確認方法は以下関連記事で解説しています。

【関連記事】

内定したら確認する内容は?労働条件通知書の確認方法を解説

労働条件の電子的通知とはどんな制度?

労働基準法施行規則が改正され、2019年4月からは、書面での通知に加えてメール、FAX、SNSでの通知が可能になりました。

ただし、一方的にメールを送り付けて「通知義務は果たした」という訳にはいかず、電子的な交付には次の条件を満たす必要があります。

  • 労働者が希望した場合
  • 出⼒して書面を作成できるもの
  • 労働者に直接送信すること

労働者が希望した場合

通知書の電子的な交付は、労働者が希望した場合に可能な手段であるので、「全員一律」にメールなどでの通知とすることはできません。

例えば、家にプリンターがない人は、印刷手段がないので従来の郵送を希望するかもしれません。

「社印の押してある原本が欲しい」

大切な内定通知書だから、就職記念に原本を保管したい人も多いと思います。

(下に続く)

出⼒して書面を作成できるもの

例えば、出力や印刷機能が全くないSNSサービスで送信しても、書面で保管することができないのでもらっても困ってしまいます。
ただし、本人の事情によらず、一般的に次のサービスで送れば出⼒して書面を作成できると認められます。

  • FAX
  • Eメールや、Yahoo!メール、Gmail等のWebメールサービス
  • LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能

労働者に直接送信すること

労働者が管理しているホームページやブログへの書き込みによる通知は認められませんので、直接上記のサービスで送信するようにしましょう。

注意事項

トラブルを未然に防ぐために、メールなどで交付する際に、次の3つを考慮するようにしましょう。

  • 労働者が電子での交付を希望したことの記録を残す
  • 到着確認をする
  • メール本文ではなく添付ファイルを送る

労働者が本当に電子での交付を希望したかを、面接時などに確認しておくことで後々のトラブルが未然に防ぐことができます。

また、電子で送信しても、労働者側の「受信設定」で拒否されてしまうこともあるので、送信後に個別に連絡して到着したことの確認を取ることが望ましいです。

出典:厚生労働省「労働契約締結時の労働条件の明示~労働基準法施行規則が改正されました~

(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

労働条件通知書の電子交付化によって、内定者に対する素早い労働条件の通知ができるようになったので、

  • 郵送の手間削減
  • (迅速な交付による)内定辞退者減

などの効果が期待できますが、家にプリンターが無いなどの理由で、従来通り書面での交付希望者も数多くいると思われますので、大量に採用する場合は、

この人はメール、あの人は書面

などと、逆に採用担当者が混乱してしまうことも考えらることも課題です。

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