(2020-7-9更新)
企業といえば「株式会社」がまず頭に浮かぶと思いますが、最近は「合同会社」を見かけることが増えてきました。
「転職するなら、株式会社が安心」
合同会社と言われてもイメージが沸かず、以前まで多かった「有限会社」を思い浮かべてしまう人もいると思います。
ただし、合同会社は外資系を中心に設立が増えている新しい会社形態なので、株式会社じゃないからと言って敬遠するのは賢明ではありません。
今回は、株式会社と合同会社の内容と具体的な違いを解説します。
株式会社とは
細分化された社員権(株式)を保有する出資者で構成される法人組織であり、出資者は株主と呼ばれ、出資金額に応じた議決権や配当金を得ることができます。
- 株式:会社の所有権
- 株主:株式の所有者(出資者)
株式会社は、株式を発行することができる会社のことです。
合同会社とは
金銭や財産の出資者で構成される法人組織であり、会社の所有者と経営者が一致しているのが特徴で、株式会社に比べて少人数の出資者で事業を営むことを想定されています。
合同会社は、2006年の会社法施行により新設された会社形態で、米国のLLCをモデルにして導入された新しい組織です。
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違いは?
1.資金調達面
大きな違いは資金調達方法にあり、株式会社は株式を発行して広く調達することができますが、合同会社は少数人数による直接出資となります。
- 株式会社:株式を発行して調達する
- 合同会社:直接出資する
株式会社は、広く浅く出資を集めることが可能なのが特徴です。
2.出資者と経営者の関係
株式会社は、株主になっても経営に関わらず、株式の値上がりや配当金を目的に投資することもできますが、合同会社は、基本的に「出資者=社員(経営者)」なので、出資することは経営に参加することになります。
このため、合同会社は増資や譲渡を行うためには、基本的に他の出資者の同意を必要とするなど、条件が厳しいことが特徴です。
3.意思決定の違い
合同会社の意思決定は、基本的には社員の過半数で行いますが、定款を変更することで「1人に権限を集中」させることができるなど自由に設計することで柔軟な意思決定をすることができます。
このため、合同会社は「意思決定がスピーディー」という特徴を持たせることができるので、意思決定の速さを活かして業績を拡大させたい時に有利になります。
4.会社の信用度
合同会社は、少人数の出資者による経営が想定されているので、株式会社に比べて規模が小さい傾向があるので、対外的な信用度は、
「株式会社>合同会社」
このため、株式会社は「安定している」「信用できる」と思われて、合同会社は低くみられる傾向があります。
本来は、株式会社と合同会社は対等なので、優劣は付けるべきではありませんが、「合同会社との取引はできるだけ控える」と考える調達担当者もいます。
5.上場の可否
東京証券取引所などに株式を上場することができるのは、株式会社だけです。
当たり前のことですが、合同会社には「株式」が存在しないからです。
上記の「会社の信用度」で株式会社の信用度が高いのも、上場できるというのも理由の一つだと思います。
主な合同会社
最後は、日本の主な合同会社を紹介します。
- Apple Japan
- Amazon(アマゾンジャパン)
- コダック
- シティグループ・ジャパン・ホールディングス
- 西友
- IHG・ANA・ホテルズグループジャパン
見事に全て外資系企業ですが、元々、米国のLLCを参考に生まれた会社形態なので、意思決定の速さなど外資系に好かれる要素があるためだと思われます。
また、子会社を設立するときは、合同会社が選択する場合も多いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
株式会社と合同会社を比較してみましたが、少しでも「合同会社」に対する偏見が払しょくされたら、この記事を書いた甲斐があります。
「合同会社だからダメ」と会社形態だけで判断せずに、その会社の中身で会社選定の参考にしていただければと思います。
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