(2020-7-6更新)

入社時に提出が求められる「身元保証書」。

保証人という名称から、通常は両親にお願いする人がほとんどですが、もし両親に頼めない事情がある場合、誰にお願いしていいか悩んでしまいますね。

身元保証人はどこまで責任を負うのだろうか?

多くの人は、保証人は怖いというイメージがあると思います。

ただし、入社で必要な「身元保証人」は、借金の「連帯保証人」とは比べ物にならないほど責任が限定されていいるのです。

今回は、入社時に必要な身元保証人の責任と、保証書の書き方を解説します。

身元保証書とは

身元保証書

身元保証人が、雇用者の素性に問題が無いことを保証すると共に、会社に対して損害を与えてしまった場合に賠償責任をすることを約束する書面です。

通常は、採用時の入社手続きの一環として身元保証書を提出させることが多いです。

パートやアルバイトなのに提出することも

身元保証書は、正社員や契約社員だけではなく、パートやアルバイトの人たちに提出させることがあります。

実際には、ほとんど提出させることは無いと思いますが、例えば「お金を扱う仕事」などで企業が保証人を必要と判断したら、アルバイトであっても保証書の提出を求められることがあります。

実際には、金融など一部を除いて、ほとんど提出させることは無いと思いますが、「雇用形態(社員など)」と「身元保証書」は別のもので、アルバイトは関係ないと思っていると求められたときに驚いてしまいますね。

保証人の責任は?

借金の保証人と異なり、身元保証人に責任は「身元保証ニ関スル法律」で責任範囲が限定されています。

保証期間は3年か5年

保証書にサインをしてしまうと、雇用されている限り永久に保証人としての責任を負うことになると思われますが、実は、基本的に3年間か期間を定めた場合は最長5年間と決まっています。

また、保証期間の自動更新はできず、双方が合意した場合は延長することができるだけです。

通知義務

雇用者の職務について、保証人の責任が重くなりそうな場合には通知する義務があります。

  • 雇用者が業務上不誠実なことを行った
  • 職務内容などが変更された

これらの通知を怠ると、保証人の責任が軽減されることになります。

責任は全額ではない

借金の保証人の場合は、全額を賠償させられる可能性がありますが、身元保証人に責任は、損害額の20~40%程度と限定されるのが通常です。

例えば、次のような場合は保証人の責任が軽減されることになります。

  • 企業側の管理体制に問題があった
  • 被害を早期に発見できなかった
(下に続く)

身元保証書の書き方

企業の考え方や業務内容によって、保証人が1人でいい場合と2人必要な場合があります。

保証人は基本的に両親

身元保証人の選定

企業から身元保証人を求められたときは、まずは両親にお願いすることが基本です。

また、保証人が2人必要な会社では、別生計の保証人が必要な場合がありますので、

  • 片親と祖父母
  • 片親と兄弟姉妹

などの組み合わせで提出することになると思いますが、兄弟姉妹にする時は「成年で独立している」必要があるので、学生や無職で両親と同居している場合は、保証人にすることができません。

なお、身近に親戚がおらず、知人を保証人にしたい場合もあると思いますが、その場合、事前に企業に相談しておくことが望ましいです。

(下に続く)

本人に書いてもらうこと

両親と別居していると、わざわざ書いてもらうのが面倒ですが、保証人は必ず本人の直筆で書いてもらわなければなりません。

身元保証書は、会社に提出する「正式な文書」なので、代筆という行為は許されません。
社会人になると、様々な文書を扱うことになりますが、「面倒だから」と他人に代わって書いてしまうような軽率な行動は慎まなければなりません。

印鑑は認印でOK

身元保証書には、入社する本人の印鑑と保証人の印鑑を押しますが、どちらも「認印」で問題ありませんが、同姓だからといって、同じ印鑑を「使い回し」をせず、それぞれ別の印鑑を押す必要があります。

また、保証人に対して厳しい会社では、「実印」での押印と印鑑証明書の添付を要求されることがありますが、実印の押印をしたからといって、特別に責任が重くなるわけではありません。

この場合は、印鑑証明書を取得する時間を考慮して、早めにお願いしておく必要があります。

なお、認印だと架空の身元保証人で提出される恐れがあるので、実印と印鑑証明書の添付をさせる会社もあります。

(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

入社の際には、ほとんどの会社で身元保証書の提出があると思います。
それは、社員になると、多くの権限を与えられて働くことの裏返しでもあります。

ただし、故意に会社に損害を与えない限り、通常は損害賠償を請求されることはなく、企業も「損害賠償」のためというよりは、「人的保証」の役割として身元保証書を提出してもらっていると考えても差し支えないでしょう。

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