(2020-7-17更新)
顧客との大切なプレゼンテーションの資料を作成するために、ガンガン残業や休日出勤をしていたら、
「36協定に引っかかるから、これ以上残業するな」
と上司から注意された・・・。
36協定という名前は聞いたことがある人は多いと思いますが、組合などに関わっていないと内容は分からないのではないでしょうか。
今回は、36協定の仕組みと、働き方改革での変更点を解説します。
36協定とは
労働者に法定労働時間(※1)を超えて働かせる場合に、労働組合や労働者の代表と結ばなければならない協定のことで、労働基準法第36条の規定に基づき取り交わされる協定なので、「36(サブロク)協定」と呼ばれます。
「36」に特別な意味があると思っていた人もいると思いますが、実は、「第36条によるから」という意味だったんですね。
(※1)法定労働時間:労働基準法に定められた労働時間の上限時間のことで、原則的に1日8時間、または1週間40時間を超えて働かせてはいけないと定められています。どんな場合で締結が必要?
36協定を締結しなければならない場面は、次の2つです。
- 法定労働時間を超えて残業させる場合
- 法廷休日に労働をさせる場合
法定労働時間は、1日8時間(または1週間40時間)なので、「うちの会社は毎日全員定時」という企業を除いて、全ての企業が36協定を締結する必要があるということです。
具体的な残業可能時間は?
36協定を結べば何時間でも残業をさせることができる訳ではありません。
厚生労働省の「時間外労働の限度に関する基準」を守り、時間外労働時間を適切に設定することが求められています。
この表を見ると違和感があると思います。
「月45時間って少なくない?」
36協定では、原則的にこの労働時間上限を基準としていますが、実は、例外がある訳です。
特別条項で残業時間が青天井に
企業では、決算期などの繁盛期やトラブル対応などで、「忙しい時期」「暇な時期」があり、残業時間にも波が存在します。
毎月45時間までの残業では、どうしても業務が回らないことがあるので、突発的な対応のために「特別条項付きの36協定」を結ぶことができます。
この特別条項により、45時間を超えて「何時間でも」残業をさせることが可能でした。
ニュースで「○○企業で月間100時間以上残業による過労死」などが報じられることがあったと思いますが、さすがにマズいとなって、働き方改革で対策されました。
働き方改革で罰則付き残業時間の上限が規制された
今までは「特別条項付きの36協定」を結ぶことで、何時間でも残業をさせることができましたが、「働き方改革」で労働基準法が改正されて、残業時間の上限が制定されました。(2019年4月より)
この残業時間を守らないと「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられることになります。
具体的な時間外労働の上限は次の表の通りです。
1か月間では100時間が上限ですが、複数月を平均して80時間を超えることができないので、今月90時間の時間外を行ったら、来月は70時間までとなります。
この時間外には、休日労働が含まれますので注意が必要です。
なお、時間外労働の上限規制は大企業から実施され、中小企業は2020年4月から実施されます。
2019年3月までに締結した36協定は、4月以降もそのまま有効
今回の上限規制には、3月31日までに締結した36協定は、「経過措置」として4月1日以降も引き続き有効とされています。
ただし、経過措置が認められるのは、その協定の初日から1年間です。
(例えば、2019年3月1日から有効の36協定なら、2020年2月29日までは経過措置が有効)
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」
【関連記事】
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今まで36協定を意識していなかった人も多いと思います。
今回の労働基準法の改正で、時間外労働の上限規制が行われました。
まだ課題は多いですが、残業時間の上限が月間100時間から減る方向で見直しされることを期待しています。
【関連記事】