(2020-7-19更新)
アメリカの役職と聞いて真っ先に思い浮かぶのが「CEO」ではないでしょうか。
「CEOは社長のことでしょ?」
社長を英語表記したものが「CEO」と考えている人は多いでしょうが、実際は、社長とCEOは異なります。
もちろん、国が異なれば経営者の役割が違うのは当然ですが、グローバルな時代で外資系企業と取引することもあると思いますので、違いを理解しておきたいですね。
今回は、CEOとCOO、社長の違いについて解説します。
CEOとは
アメリカの役職である「Chief Executive Officer」の略称で、日本語に直すと最高経営責任者です。
最高経営責任者という名前から想像できる通り、会社の中長期的な経営方針を決定するため、権限は絶大で経営のトップという立場です。
また、CEOは意思決定を行いますが、自ら手足となって業務の執行を行うことはありません。
所有と経営が分かれている
アメリカでは、企業の「所有」と「経営」が分かれており、所有者の意思決定である「株主総会」で基本的な経営方針を決定し、その他の意思決定は「取締役会」に任せます。
取締役会は、CEOやCOOなどの「オフィサー(officer)※1」を選任し経営を任せて、取締役会は監督を行います。
(※1)オフィサー:役員のことで、社長や副社長、CEO、COOなどが取締役会で選任される。COOとは
「Chief Operating Officer」の略で、日本語では最高執行責任者と訳されます。
CEOが決定した経営方針を実行する責任者で、COOの下には管理、財務、営業、製造など各部門が置かれ実務が執り行われます。
図にすると以下のイメージになります。
実際に、CEOは経営方針を決定するなど意思決定を行いますが、決定された経営方針は実行部隊であるCOOが受け持ち、各部門を指揮することで実行に移します。
- CEO(最高経営責任者)は中長期の経営方針などを定める
- COO(最高執行責任者)は経営方針の実行責任者
このように仕事の役割が分担されていて、役職名が仕事上の役割を表しているが、いかにもアメリカらしいですね。
アメリカの社長とは?
アメリカにも、「社長」が存在する会社があります。
社長は、Presidentと英訳され、取締役会の管理下で「業務執行責任者」として事業を運営しますので、CEOが「中長期の経営計画」を決定することと比較すると、CEOの方が上の立場です。
ただし、社長が存在して、さらにCEOやCOOを置くこともできるので、
- 「社長(President)兼CEO」
- 「会長(Chairman / Chairperson)兼CEO」
このような兼任が行われるため、日本人の目からは「社長=CEO」と思われることがあります。
日本の社長とは?
日本の会社法では、「取締役」と代表権のある「代表取締役」については規定があり
- 取締役:置かなければならない
- 代表取締役:選出しなくてもよい(その場合、取締役全員が代表権を持つ)
実は、社長や専務、部長、課長などの役職は、法律で規定していないので自由に決めることができます。
このため、「アカウントディレクター」「チーフマネージャー」「アカウントマネージャー」など、どのくらい偉いのか想像できないカタカナ役職が氾濫している訳です。
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英語の役職一覧
日本の役職を英訳する時は、次のようになりますので参考にしてみてください。
- 会長:Chairman / Chairperson
- 社長:President
- 副社長:Executive Vice President
- 取締役:Board Director
- 部長:General Manager / Director
- 次長:Assistant General Manager
- 課長:Manager / Section Manager / Section Chief
- 係長:Section Head / Subsection chief
- 一般社員:Staff
まとめ
いかがでしたでしょうか。
CEOが決定した経営方針を、COOが実行すると考えれば分かりやすいです。
その他よく耳にする幹部の役職は、
- CFO(最高財務責任者):財務部門責任者
- CIO(最高情報責任者):IT部門責任者
- CTO(最高技術責任者):技術部門責任者
これら「C」から始まる役職は、Cレベルと呼ばれ、会社幹部を指しますので、覚えておいて損はありませんね。
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