(2020-2-13更新)
「給与が30万円も払われているのに、なぜか手取りが22万円しかない・・・。」
給与明細を見ると様々な名目で金額が天引きされていますが、果たしてこの金額が正しいのか、余計なお金まで引かれているか心配になってしまいますね。
もちろん会社の懐にはいることはありませんが、正しい知識を身に付けておけば将来設計に役立ちますね。
今回は、給与から引かれるお金について分かりやすく解説します。
目次
給与から引かれるお金は?
給料から引かれるお金というと、ざっくり税金と社会保険と分かっていても、「20~30%も天引きされる」と漫然とした感覚ではないでしょうか。
給与明細を隅々まで見ると、具体的に次の5項目が引かれています。
- 所得税
- 住民税
- 社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)
- 組合費(加入している場合)
- レクリエーション費など(会社独自のもの)
ここからは、それぞれの中身を解説します。
1.所得税
所得税とは、1年間(1月~12月)の所得に対し、一定割合で課される国税のことをいいます。
所得税の税額は?
所得税の税率は、所得に応じで5~45%累進課税 (*1)で納税します。
(*1)累進課税とは、所得金額が増えるほど高い税率が課される税制のことをいいます。
所得税は、給与全額に課税される訳ではなく、給与から必要経費(所得控除と呼びます)を差し引いた後(所得と呼びます)に課税されます。
☆給与所得控除の計算方法
給与所得控除は、以下の給与所得控除の速算表で計算できます。
【給与所得控除の速算表】
給与等の収入金額 |
給与所得控除額 |
|
180万円以下 | 収入金額×40% ただし、65万円に満たない場合には65万円 |
|
180万円超 | 360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超 | 660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超 | 1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円(上限) |
※出典:国税庁「No.1410給与所得控除」
☆所得税の計算方法
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え、330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え、695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え、900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え、1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え、4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
※出典:国税庁「No.2260所得税の税率」
2.住民税
住民税とは、道府県民税と市町村民税を合わせた総称で、毎年1月1日時点に住んでいるところに納税する地方税をいいます。
住民税は、年の途中に他の市町村に引っ越した場合でも、引っ越し先の市町村でなく、1月1日時点に住んでいた市町村に納税します。
住民税の税額は?
住民税は、次の2種類の計算で算出された合計額が課税されます。
- 所得割:所得に応じて課税される税率
- 均等割:所得に関係なく課税される税額
都道府県民税 | 市区町村民税 | 計 | |
所得割 | 4% | 6% | 10% |
均等割 | 1,500円 | 3,500円 | 5,000円 |
住民税の仕組みや徴収方法の詳細は、以下関連記事をご覧ください。
3.社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険)
社会保険とは、病気や介護、失業などのリスクに備えて、加入者(労働者)と加入者を雇っている雇用者が、掛金を供出して備える保険制度です。
上記の4つに労災保険を加えたものを社会保険と呼んでいますが、労災保険は労働者の負担が無いため、ここでは省きます。
3-1.健康保険
全国健康保険協会や健康保険組合などが運営している医療保険のことで、普段健康な人でも、入院や通院したときにお世話になると思います。
☆健康保険料は?
健康保険料は、住んでいる地域によって異なりますが、東京都の場合9.9%(労働者4.95%、雇用者4.95%)です。
3-2.介護保険(40歳以上の従業員)
介護を必要とする人が介護サービスを受けた時に支払われる公的介護保険制度で、40歳以上の従業員が加入者となります。
☆介護保険料は?
介護保険料は、住んでいる地域によって異なりますが、東京都の場合1.57%(労働者0.785%、雇用者0.785%)です。
3-3.厚生年金保険
日本年金基金が運営している年金制度で、実際は、「国民年金+厚生年金」の合計額を保険料として納めています。
☆厚生年金保険料は?
厚生年金保険料は全国一律18.3%(労働者9.15%、雇用者9.15%)です。
3-4.雇用保険
失業された時や教育訓練を受けられた時に、失業給付などを支給する保険制度です。
☆雇用保険料は?
雇用保険料は、農林水産業など一部を除いて、全国一律0.6%(労働者0.3%、雇用者0.3%)です。
社会保険は会社が半分負担している
上記をご覧いただければお気付きの人もいると思いますが、社会保険料は雇用者が半額負担をしているので、
「1人当たり2万円でも、従業員が100人いれば200万円」
会社の負担額を考えると相当な金額に膨れ上がってしまうことが分かります。
4.労働組合費(加入している場合)
労働組合が活動するための活動費で、毎月の負担金額は正規組合員で5,023円(日本労働組合総連合会:「労働組合費に関する調査報告(2015年)」でした。
5.レクリエーション費、共済会など(会社独自のもの)
会社によっては、レクリエーション費や懇親会費、または、福利厚生の一環として共済会(互助会)などの会費を徴収することもあります。
その他の福利厚生については、以下関連記事を紹介しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
給料から引かれる税金、社会保険について、理解が少しでも進んでいただければ幸いです。
「毎月引かれ過ぎる・・・」
今まで不満だった人も、仕組みが分かれば納得いただけるのではないでしょうか。
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