(2020-8-12更新)
退職したら、国民健康保険料の負担は厳しいですね。
特に、会社都合で退職したり世帯の収入が低い場合には、国民健康保険料が軽減される制度があるのをご存知ですか?
収入が減ってしまった時には、少しでも支出を減らすために、国保の軽減制度を最大限活用したいですね。
とろこが、この軽減制度を受けるための条件があるので、退職までに確認しておきたいですね。
今回は、国民健康保険料軽減制度を受ける条件や軽減額について解説します。
国民健康保険料軽減制度とは
国民健康保険料軽減制度とは、前年の所得が一定以下か、非自発的な理由(会社都合)によって離職した時に適用される、国民健康保険料の軽減制度のことです。
所得の基準による軽減制度
国民健康保険に加入する世帯の所得が一定以下の場合に保険料(均等割額)が軽減される制度です。(世帯の所得は、世帯の国保加入者の合計で計算する)
非自発的な理由により離職された方に対する軽減制度
倒産、解雇、雇い止めなど、いわゆる会社都合で離職(退職)された場合に、一定期間保険料を軽減する制度です。
1.所得の基準による国民健康保険料の軽減制度
対象者と軽減金額
世帯の所得(総所得金額等※)が次表の基準以下の場合に適用されます。
【平成31年度(令和元年)の国保軽減表】
世帯の総所得金額 | 軽減割合 |
33万円 | 7割(70%減) |
33万円+(28万円※1×加入者数) | 5割(50%減) |
33万円+(51万円※2×加入者数) | 2割(20%減) |
(※2)平成31年度は、50万円から51万円に変更。
例えば、世帯主と加入者2人の世帯の場合は、世帯の総所得の合計が次の場合に軽減対象になります。
- 186万円以下・・・2割軽減
- 117万円以下・・・5割軽減
- 33万円以下・・・7割軽減
手続方法
申請は必要ありませんが、加入者全員の所得が申告されていないと軽減措置を受けることができません。
所得が申告方法は、次の3つの方法があります。
- 年末調整
- 確定申告
- 住民税の申告
給与所得者や確定申告をしていれば、特になにも手続きは必要ありません。
ただし、年の途中で退職した場合には、年末調整がされていないため、確定申告をしなかったら、所得の申告がされません。(この場合は、確定申告すると所得税の還付が受けられることが多いので、確定申告しましょう)
問題となるのは、世帯の中に所得が無い加入者がいる場合で、「所得が無い」ことを申告しておかないと、役所・役場で世帯の所得が計算できず、保険料の軽減対象の判断することができないからです。
源泉徴収か確定申告してない加入者がいる場合は、市区役所、町村役場で「住民税の申告」をする必要があります。
なお、住民税の申告期間は確定申告と同じで、毎年3月15日までです。
- 加入者全員が所得の申告をしている必要がある
- 収入がない場合でも、「確定申告」か「住民税の申告」をする
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軽減される期間
国民健康保険は年度で保険料が計算されるので、
「1~12月までの所得を基準にして、4月から翌年3月までの保険料が軽減される」
つまり、急に収入が減っても翌年の4月までは保険料が軽減されることが無いので注意が必要です。
2.非自発的な理由により離職された方に対する保険料の軽減制度
対象者
雇用保険制度にて、特定受給資格者又は特定理由離職者、いわゆる会社都合として失業給付を受給できる場合が対象となります。
特定受給資格者とは、倒産や解雇、雇い止めで離職した場合だけでなく、月45~100時間以上の長時間労働やパワハラ、セクハラなどによって退職に追い込まれた人をいいます。
特定理由離職者とは、契約社員で契約更新されずに離職した場合と、へき地への転勤命令などやむを得ない理由で退職者をいいます。
雇用保険受給資格者証に離職理由コードが、特定受給資格者(11・12・21・22・31・32)、特定理由離職者(23・33・34)となっていれば対象です。
なお、特定受給資格者と特定理由離職については、以下関連記事にまとめています。
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手続き方法
申請場所
市区役所、町村役場の国民健康保険の窓口で行います。
持参物
- 国民健康保険被保険者証(加入と同時に申請する場合は不要)
- 個人番号カード(マンナンバーカード)、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか
- 雇用保険受給資格者証
- 印鑑
2018年1月より、申請時にマイナンバーが必要となりました。
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軽減金額
対象者(離職者)の前年度の「給与所得」を100分の30(70%軽減)として、保険料が計算されます。
※前年度の所得金額を、本来の所得金額の30%に置き換えて保険料が計算されます。
軽減される期間
離職年月日の翌日が属する年度の翌年度末(3月31日)までなので、3月31日に離職すると最長の2年間軽減を受けることができますが、3月30日に離職してしまうと、1年1か月と短くなってしまいます。
- 2018年9月30日に離職:2020年3月末まで(18か月分)
- 2019年3月30日に離職:2020年3月末まで(13か月分)
- 2019年3月31日に離職:2021年3月末まで(24か月分)
失業給付の受給も可能
非自発的な理由(会社都合)により離職の場合は、失業給付も忘れずに受けましょう。
退職前に会社に「離職票」を請求しておけば、退職後1週間以内に手に入りますので、入手後ハローワークで手続きが可能のです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
退職した場合は、収入が途絶えてしまうので、少しでも支出を減らして次の職まで食いつながなければなりませんので、こんな時は、国保の軽減制度を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、退職後に社会保険を任意継続した方が、保険料が安くなる事もあります。
社会保険の任意継続の概要と安くなるパターンを関連記事で詳しくは解説しています。
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はじめまして。質問があります。
国民健康保険料軽減制度を利用して2割減額の通知をもらい、早速全額(3月分まで)払おうと思ったところに派遣会社から短期の仕事の紹介があり、1カ月間(今月25日開始、来月25日終了の31日間)就業することになりました。更新の可能性はなく、12月26日からは失業者に戻ります。
この場合、働いている期間の保険料は2割減額された金額ではなくなりますか。とすれば、11月分は払い込み期限が迫っているのですぐに払うとして、その後の保険料は再度区役所に申告して金額を計算してもらい、改めて振り込み用紙をもらうことでよろしいでしょうか。
会社都合で辞めさせられるのは辛いが、保険料が下がるのはせめてもの救い。
役所に健康保険担当者も離職票などを確認するので、軽減制度を受け損ねることは無いと思いますが、事前に知っておきたい知識ですね。
会社都合は失業保険だけかと思っていましたが、健康保険料も安くなるんですね。
会社都合退職では突然の退職で生活が困らないようにと、失業保険や健康保険料(税)で優遇されますので、いざ退職する時には会社都合なのか自己都合なのかが明暗を分けてしまうことがありますね。