(2020-8-6更新)

内定をもらった時に入社日を聞かれたので、深く考えずその場で即答してしまった。

ところが、退職交渉で思った以上に引き止められ、入社日に間に合いそうにない・・・。

入社日の延期はできるの?

間に合わなかったら内定取消?

一度約束した入社日を守れないことは、社会人のマナーとしては最悪です。

今回は、約束した入社日に間に合いそうにない時の対処方法を解説します。

入社日に間に合わないと分かったらすぐ連絡をする

まず、約束した入社日に間に合わないと分かった時点で、すぐに内定先に連絡をしなければなりません。

もしかしたら間に合うかもしれないと、連絡をためらってしまい、入社直前になって「やっぱり入社日に間に合いません」というのは、社会人として許されません。

電話で口頭約束しても守るのが社会人

たとえ口頭で伝えた入社日だったとしても、約束を守るのが社会人の常識とは頭で分かっていても、もし延期したら、企業にどんな悪影響を及ぼすのでしょうか。

企業には入社日に来てもらいたい理由がある

入社日を守る理由

例えば、企業では取り決めた入社日から勤務することを前提として、様々な準備をしています。

制服やパソコンなどのモノの準備なら、入社が数日遅れたところで影響がなさそうですが、研修や配属先社員のスケジュールを確保していることも多く、入社延期となっては、わざわざ空けた予定が全て無駄になってしまいます。

もし、退職者の欠員補充だった場合、入社が遅れてしまったら引き続きができなくなってしまうかもしれません。

それだけでなく、「新規事業」や「新規プロジェクト」のための人員募集でしたら、スタートに間に合わなくなるので、間に合わないなら採用する必要がないことだってあり得ます。

では、入社日の延期を連絡する時にはどんなことを注意したらいいか、理由とマナーはどんなものがあるでしょうか。

何故間に合わないか理由を説明する

例え即答で入社日を答えたとしても、一度は入社予定日の合意をしたわけですから、この合意を変更するだけの理由を説明しなければなりません。

そして、理由の説明する時には、引き止めに合ったからなどの抽象的な説明では納得してもらえないので、具体的な理由や状況を説明し、「それなら仕方ない」と思ってもらえるように誠心誠意伝えます。

入社日に間に合わない理由

1.現在の進行状況をまとめてみる

まずは、内定後から現在まで勤務先とどのようなやり取りがあったかを、以下の表を参考に、「いつ」、「何をして」、「どうなったかを」を書き出してみましょう。

いつ 何をして どうなったか
3月1日 上司に退職したい旨を相談して 保留された
3月3日 上司に退職の意思を伝え 保留された
3月5日 上司に退職の意思が固いことを伝え 了承された
3月6日 退職願を提出した 人事で保留された
3月9日 上司立会いのもと人事と相談した 後任を採用するので、それまで待って欲しいと言われた

このようにまとめてみると、どこで余計な時間がかかったかが明確になりますので、内定先に対して要点を簡潔に伝えられて、相手側も理解しやすくなります。

2.どんな想定外なことが起きたか

合意した入社日に間に合わない理由を、具体的に説明します。

上記の例ですと、「後任を採用するまで待って欲しい」と言われたことが、入社日に間に合わない理由です。

本来は、退職交渉で引き止めに合うことや引継ぎに時間がかかることは、当然予想できることで、想定外な理由にはならないのですが、嘘はつけないので正直に話しましょう。

ただし、入社歴の浅い20代前半であれば仕方ないで済みますが、「社会人としてそのくらいことも想定できない人物」とレッテルを貼られることは覚悟しなければなりません。

3.現時点での入社日の見通し

最後に、現時点での入社日の見通しを伝え、その日程で入社させてくださいとお願いをします。

低姿勢で「働かせてください」の意思が伝われば、企業側も納得してくれると思います。

ここで内定先に対して、隠さず正直に誠意をもって対応することで、あなたの好感度が上がる事だってあり得ます。(企業は、不都合なことを隠す人を嫌います)

 

後任者を採用するので待って欲しいは内定取消の可能性も

後任者を採用して引継ぎをしてもらいたいので、それまで待って欲しい

こんな理由だと、転職先が入社まで何か月も待たされる事が有り得るので、内定取消される可能性があります。

後任者が来るまで待つ義務はなく、このような時間稼ぎともいえることを言う会社には、こう交渉するべきです。

業務のマニュアルを作って分かるようにしておくので、希望日に退職したい

(下に続く)

入社日を延期すると内定取消もある

入社日に間に合わないと、どんなことが起こる

企業が求人を募集するのは、「この日までに何人欲しい」という事業計画に基づいて計画的に行われますので、入社日に間に合わないと業務に支障がきたしてしまいます。

  • 新規部門やプロジェクトの立ち上げに参加できない
  • 新店のオープンに間に合わない(オープニングスタップ募集の場合)
  • 退職者と引継ぎができない(退職者の欠員募集の場合)

例えば、あるプロジェクトの立ち上げのための人員募集だった場合、プロジェクト開始後にのんびり入社されても、出遅れて足を引っ張るだけの存在になってしまうので、周囲からは迷惑者扱いされてしまいます。

このような場合は、決められた入社日に間に合わないと採用した意味が無くなるので、内定を取消されても仕方ありません。

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内定は始期付解約権留保付労働契約

では、入社日に間に合わないと内定取消は可能でしょうか?

内定は、判例上「始期付解約権留保付労働契約」と解釈され、「入社日まで取消しができる労働契約」となります。
取消しができるとは言え、なんでもかんでも取消しができるわけでなく、内定取消事由に該当する場合に限られていますが、入社日の変更がこれに該当するため取消可能となります。

(下に続く)

正しい入社日の伝え方

こんな事態にならないため、内定から入社日の確定までは、特に慎重に行う必要がありました。

1.内定承諾

内定承諾時に入社日を聞かれると思いますが、即答を避けおおよその目安を伝えます。

「社内規則では、退職願は退職日の1か月前までに提出することになっております。退職交渉に時間がかかる場合もありますので、1か月半~2か月後に入社できるように努力します」

さらに、入社日を確定できる目安を伝えることを忘れずに!

「すぐに退職手続きを行いますので、入社日のご連絡まで数日お待ちいただけないでしょうか?」

2.退職願が受理された時点で連絡

退職願

退職願が受理されて退職日が確定した時点で、改めて内定先に入社日を連絡します。

3.入社日決定までの注意点

内定承諾から退職日確定までに3日以上かかる場合は、途中の進捗状況を報告します。

採用企業も連絡を待っていますので、入社日を確定されるまでは連絡が途絶えないようにしてください。

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(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

内定をもらった時の嬉しさで、あまり深く考えずに入社日を伝えてしますことはよくある事です。

特に、企業は退職者に対して引き止めをすることも事実で、本人が必要な人物であるということもありますが、退職されたら上司の評価が下がるので、上司が自分の保身ために引き止める場合もあります。

どのような事情があっても、内定先に伝えた入社日に間に合わないことは社会人のマナーとして許されませんが、やむを得ない事情で間に合わない事もあると思います。

もし、どうしても延期をせざるを得ない時は、間に合わないことをお詫びして延期を低姿勢でお願いするしかありませんので、誠意を見せて採用担当者に納得してもらい、入社後に気持ちよく働けるようにしましょう。

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