退職時返却物

退職日が迫ってきた日、総務から返却物のチェックリストがきた。
このチェックリストには、プログラムの持ち出しができないとの記載があった。

このプログラムは毎日残業して作り上げた大作で、転職先でも使おうと思っていたのに・・・

プログラムは返却しなければならないのか?

ここでは、退職時に返却するものと持ち出した場合どうなるかを説明します。



企業の情報管理が厳しくなってきている

企業の企業機密の管理は年々厳しくなってきています。

長年かけて開発した技術やノウハウは会社の知的財産であり、このノウハウがライバル社に渡ったら、ライバル社に追いつかれたり、技術を真似されたりと莫大な損害を受けてしまいます。

そこで、企業は社外への企業機密の持ち出しを防ぐため、退職者がこっそり持ち出せないように、在職中に得た情報などを返却させたり誓約書を出させたりするようになりました。

退職時に返却するもの

1.名刺

仕事上で交換した名刺は、顧客情報や仕入先情報でもあり会社の財産となります。
ただし、無機質な名刺の束だけでは使い道がないために、会社によっては持ち出しを認めたり、名刺のコピーなら持ち出しを認めたりするところもあります。

2.プログラム、設計図、文書、作品など

職務上作成したものは、就業規則などで社員に帰属するとの定めがない場合は、著作権では職務著作(著作権法15条)と呼ばれ、会社に権利が発生します。

このため、たとえコピーでも持ち出しが禁止されていますので、間違えても持ち出さないようにしてください。

社員証、入門証、社章など

社員証や入門証、その他IDカードなどは、悪用される可能性があるので必ず返却が求められます。

健康保険証、定期券

健康保険証は退職日までしか使用できず、退職後に使用すると不正使用となるため必ず返却してください。

なお、退職後も退職時の社会保険に継続加入(社会保険の任意継続)することができます。

社会保険の任意継続については、以下関連記事をご覧ください。
関連記事:「退職後にする手続き

また、定期券は有効期限の残り日数が少なくても返却します。
定期券の返却時に、残り少ないから使っていいよと言ってくれてら、ありがたく頂きます。

会社の経費で購入したもの

書籍や文房具など会社の経費で購入したものは、他の人に使い道がなくても返却します。
また、手帳なども返却が求められることがありますので、その場合はプライベートな部分はシュレッダーをしてから返却します。

制服、作業着、帽子など

制服、作業着、帽子などは、洗うかクリーニングしてから返却(後日返却)します。
会社によっては、「捨てるから洗わないでいいよ」というところもありますが、その場合は退職日に返却しましょう。


企業機密を持ちだしたらどうなる?

不正競争防止法

退職時に企業機密を持ち出した場合は、不正競争防止法により刑事罰の対象となることがあります。
実際には、不正競争防止法の要件は厳しく、次の3つの要件を満たしている必要があります。

  1. 秘密として管理されていること(秘密管理性)
  2. 有益な情報であること(有用性)
  3. 公然と知られていないこと(非公知性)

労働契約(雇用契約)に基づく損害賠償請求

労働者は、就業期間中は秘密保持義務を負っており、企業機密を持ち出した場合は損害賠償される恐れがあります。

では、退職後はどうかといいますと、就業期間中に知り得た情報を漏洩した場合には、秘密保持契約(誓約書)による損害賠償をされるとこがあります。

また、会社に損害が発生した場合は、別に損害賠償請求される可能性があります。

窃盗罪

退職時に限らず、会社のものを持ち出した場合は、窃盗罪として刑事罰の対象なりますので、くれぐれも持ち出さないようにしてください。