(2022-10-9更新)

会社を退職したら確定申告が必要と聞いたけど、

「必ず申告しないといけないの?」

「申告をしなかったらどうなるの?」

税金は給与から天引きされているのに、何故わざわざ確定申告が必要なのか疑問に思っていませんか?

実は、退職したまま年を越すと、税金が還ってくることが多いからです。

今回は、退職後に確定申告が必要な場合と、申告するメリットを解説します。

所得税の納税の方法は2種類ある

日本では納税の義務があるので、次のどちらかの方法で税金(所得)の申告をしなければなりません。

1.確定申告で行う場合

退職後の確定申告方法

確定申告とは?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの収入と支出、扶養控除などの各種控除から所得を計算して、税務署へ提出し所得税額を確定することをいいます。

確定申告の期間は?

個人の場合は2月16日から3月15日(3月15日が土日の場合は翌週の月曜日)までです。

ただし、この期間が絶対というものではなく、実際は2月16日以前でも申告書を受け取ってもらえるし、また、3月15日以降でも申告は可能です。

なお、期限後に申告した場合は、無申告加算税延滞税のペナルティを受ける可能性がありますので、やむを得ない場合を除いて期限までに行いましょう。

2.年末調整で行う場合

給与所得者の場合は、確定申告の代わりに年末調整することで手続きを完了させることができます。

ただし、サラリーマンでも、次の場合は確定申告が必要です。

  • 年収2,000万円以上の場合
  • 副業・アルバイトなどで、2か所目の給与が20万円を超える場合

年末調整とは?

年末調整とは、会社が従業員に代わって、所得税額を計算、申告、納税をしてくれる制度をいいます。

毎年12月に、会社に「給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を記入・提出しているのは、実は、所得の申告のためだったのです。

確定申告をする必要がある人とない人

申告と納税が必要なことが分かったけど、退職したら必ず確定申告をしなければならないかというと、申告が必要な場合と不要な場合があります。

確定申告をする必要がある場合

退職後に確定申告が必要な場合は次の通りです。

  1. 12月31日まで転職しなかった場合
  2. 年内に転職したが、転職先の年末調整時に前職の源泉徴収票を提出しなかった場合
(下に続く)

確定申告をする必要がない場合

逆に確定申告をしなくていい場合は次の通りです。

  • 年内に転職して、転職先の年末調整時に前職の源泉徴収票を提出した場合
  • 12月末に退職した場合

1年間無収入でも申告が必要な場合

では、退職後に無収入のまま2回目の確定申告を迎えた場合はどうでしょうか?

無収入でも「国民健康保険料軽減制度」を受ける場合は、確定申告か「住民税の申告」をする必要があります。

国民健康保険料軽減制度の詳細については、以下関連記事をご覧ください。

【関連記事】

国民健康保険料軽減制度とは?会社都合なら活用を!

確定申告をするメリット

所得税が還付される

在職中は、給与から源泉徴収で所得税を納めていましたが、この源泉徴収で引かれる所得税は、途中退職しない場合を想定した税額を徴収していますので、年の途中で退職した場合は、納め過ぎになるので還付される訳です。

また、生命保険年金保険料控除などの各種控除も無い前提ですので、所得税がそれなりに還付されます。(在職中も、年末調整で結構な金額が還付されているのを思い出していただければ、想像つくと思います。)

(下に続く)

確定申告の手続き

申告方法

確定申告は、主に次の3つの方法があります。

  1. 税務署で確定申告書類を作成し、提出する
  2. インターネット上の確定申告書作成コーナーで確定申告書を作成し、印刷して税務署に郵送する
  3. インターネット上のe-taxで確定申告書を作成し、そのまま電子データを送信する

確定申告書作成コーナー

必要書類

  1. 個人番号カード(または、個人番号通知カード)
  2. 源泉徴収票
  3. 国民年金控除証明書「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」
    個人年金や生命保険料などの控除証明書など



なお、e-taxで確定申告を行うには、「FeliCaカードリーダー」(2~3,000円程度)が必要です。

インターネットで確定申告が完了できるのは、忙しい人にはとてもありがたいことです。最近はマイナンバーカードも普及してきましたので、ネットで確定申告を試してみてはいかがでしょうか。

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【番外編】サラリーマンでも該当するこんな還付

せっかく確定申告を行うので、少しでも還付を受けたいものです。
サラリーマンでも該当しやすい控除(還付)をご紹介します。

医療費控除

医療費控除とは、同一生計の家族が医療費を支払った場合は、年間10万円を超えた部分が所得控除されることをいいます。

医療の範囲が結構広めで、次のようなものが該当します。

  • 入院、通院の診療、医療費
  • 医師から処方された薬と病気やケガを治療するために購入した市販薬
  • 入院、通院のための交通費
  • 治療のためのあん摩、はり師、きゅう師、整体師の費用

ただし、栄養ドリンクや通常の温泉施設利用料は対象外です。

なお、厚生労働省から認定受けた「温泉利用型健康増進施設」を利用した場合は対象となるので温泉療法をされている人は、認定温泉利用型健康増進施設を利用するのも一つの方法です。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制とは聞き慣れない言葉ですが、それもそのはず平成29年からスタートした新しい税制です。

医療用から転用された医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品)を購入した際に、1万2000円を超えた部分の金額(上限金額:8万8000円)について所得控除を受けることができる制度です。

最近のドラックストアやスーパーのレシートの下の方に、

★印はセルフメディケーション税制対象商品です

こんな記載があるのを、気になっていた方もいると思います。

ただし、この制度の注意点は、「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」は、どちらか片方しか選べないことです。

実際の申告の際は、両方の制度の控除額を計算し、控除額が大きくなる方を申告するようにしましょう。

(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

会社を退職した場合は、「年内に転職をして、年末調整までに源泉徴収票を提出」した場合を除いて、自ら確定申告が必要です。

ただし、確定申告は手間ですが、所得税の還付や国保の保険料が軽減の可能性があるので、十分にメリットがあります。

管理人も毎年申告をしていますが、慣れれば1~2時間で終わってしまうので、それ程手間に感じませんから。