(2020-7-11更新)

在職中は給与から天引きされていたために、住民税の金額や仕組みを意識していなかった人もいると思いますが、退職して自分の納税することになると驚かれるのではないでしょうか?

退職後に納付書が送られてきて、金額の多さにビックリ!

収入がないのに住民税を収めるの?

住民税は、前年の収入を基準に計算されるために、退職して無職になっても納税義務がある税金なのです。

また、給与天引きとそれ以外では住民税の納付方法が異なるから、税額が高いと感じると思います。

今回は、住民税の仕組みと退職や転職時の手続き方法について説明します。

そもそも住民税の仕組みはどうなっている?

住民税とは

道府県民税と市町村民税を合わせた総称で、毎年1月1日時点に住んでいるところに納税する地方税をいい、年の途中に引っ越した場合でも、引っ越し先の市町村に納税しないで、1月1日時点の市町村に納税し続けます。

また、道府県民税と市町村民税に分かれていますが、納税は市町村が道府県民税の分もまとめて行います。(1枚の納付書で一括して払うことになるので、市民税だけを払いたいということができません)

なお、東京都では道府県民税のことを都民税、東京23区では市町村民税のことを特別区民税と呼びますが、このサイトでは、それぞれ道府県民税と市町村民税として解説します。

住民税はいつ納税するの?

時期が変則的ですが、毎年6月に、前年の1月から12月までの所得に応じて課税されます。

サラリーマンの方は、毎年6月の給与明細に、「平成○○年度 給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定通知書」という横長の紙が同封されていると思いますが、これが住民税の納税通知書です。

なお、住民税は前年の所得に応じて課税されるため、例えば、前年の年収が400万円の場合、今年が無職でも住民税として年額20万円前後を払う義務があります。

住民税の税額は?

住民税額は、基本的に所得に応じて課税される所得割が、都道府県民税(4%)と市区町村民税(6%)の計10%で、これとは別に、所得に関係なく課税される均等割があり、均等割りは住民1人当たり、道府県民税(1,500円)と市町村民税(3,500円)の計5,000円の合計金額が税額となります。

なお、住民税額は都道府県や市区町村の条例で変更でき、名古屋市が減税していることが有名です。

都道府県民税 市区町村民税
所得割 4% 6% 10%
均等割 1,500円 3,500円 5,000円

住民税の納付方法

住民税の徴収方法は、基本的に2種類の方法があります。

特別徴収

サラリーマンの場合は、従業員数人の小さな会社を除いて、特別徴収という給与から天引きされる方法で、自動的に徴収・納税されます。

名称には「特別」と付いていますが、特別なことはなく、給与から天引きされることです。

特別徴収の納税時期と税額は、6月から翌年5月までの12か月間、住民税額を12等分して、毎月の給与から天引きされます。

普通徴収

給与所得者以外の場合は、普通徴収という方法で、市町村から送られてくる納付書で払い込みます。

納付書は、毎年6月上旬に「住民税納税通知書」とともに市町村から送られてきます。

ただし、普通徴収の場合は特別徴収と異なり、年間の住民税額を4等分して(特別徴収の3か月分)年4回(6月末、8月末、10月末、1月末)に分けて納税するため、1回当たりの納税額が多くなるので、計画的に税額を用意しておく必要があります。

なお、普通徴収の場合は、全額を一括で納税することも可能です。

退職や転職した場合の住民税は?

では、退職や転職した場合の住民税の徴収方法は、退職日によって異なるので注意が必要です。

6月1日から12月31日に退職した場合

一括徴収を選択

天引き

最後に支払われる給与か退職金から、翌年5月までの住民税を全額まとめて納付することを選択できます。
ただし、この場合は5か月~12か月分を一括で引かれるため、金額が多額になることを覚悟しなければならなりません。

普通徴収を選択

払い込み

退職先で何も手続きしないと、未納分が普通徴収扱いになり、市町村から送られてくる納付書で払い込みます。

なお、住民税は銀行やコンビニに行かなくても、ペイジー(Pay-easy)Pay-easyを使って、ネットバイキングから簡単に払い込むことができます。

特別徴収継続を選択

退職後にすぐ転職する場合は、転職先に「特別徴収を継続」したいと申請して、特別徴収を継続することができます。
ただし、退職から転職までの空白期間が長くなると、転職先での手続きがややこしくなるので、普通徴収で払ってくれと言われるかもしれません・・・。

(下に続く)

1月1日から5月31日に退職した場合

基本的に一括徴収

天引き

最後に支払われる給与か退職金から、5月までに納める住民税を全額一括で天引きされます。

  • 1月に退職:1~5月までの5か月分
  • 2月に退職:2~5月までの4か月分
  • 3月に退職:3~5月までの3か月分
  • 4月に退職:4~5月までの2か月分
  • 5月に退職:5月分のみ

一括徴収で不足の場合は普通徴収

月の途中で退職してしまうと、最後の給与が少ない時がありますね。
退職金もなく最後の給与から、残りの住民税を払いきれない場合があるかもしれません。

このような最後に支払われる給与と退職金が一括徴収額に満たない場合は、普通徴収で納付することになります。

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(下に続く)

退職後に確定申告をする必要がある人とない人

退職後に確定申告をする必要がある人

退職後、次に内容に当てはまる場合は、確定申告が必要ですのでお忘れなく!

  • 12月31日まで転職しなかった場合
  • 年内に転職したが、転職先の年末調整時に前職の源泉徴収票を提出しなかった場合

確定申告をすることで、所得税の還付される場合が多いので、面倒くさがらずに確定申告を行いましょう。

退職後に確定申告をする必要がない人

転職しても、次の場合は確定申告の必要がありませんのでご安心を!

  • 年内に転職し転職先の年末調整時に、前職の源泉徴収票を提出した場合

つまり、「年末調整=確定申告」なので、年末調整を会社がしてくれたら、自分で確定申告はしなくて済むということです。

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(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

退職すると、今まで天引きされてきた住民税を、自分で払うことになります。

退職後にすぐ転職する場合を除いて、「一括徴収」で最後の給与や退職金から引き落としてもらうことが、精神的に楽です。

普通徴収で払い込み票を見た時に、「こんな大金払えない・・・」とならないように、あらかじめ準備しておくことも必要です。

なお、会社都合で退職した場合、退職後に収入が減った場合は、国民健康保険の軽減制度を利用できますので、関連記事を参考にしてください。

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