(2020-6-22更新)

日本は高齢化社会が進んでおり、今は4人に1人は65歳以上ですが、これが2040年頃には、なんと3人に1人が65歳以上になると言われています。(出典:内閣府「高齢化の状況」より)

高齢化社会では、一人で生活が困難な高齢者が増えるので、介護福祉士やヘルパーが重要な役割を担っております。

今回は、介護福祉士やヘルパーの仕事内容と、介護職のステップアップについて解説します。

介護の仕事内容

介護の仕事

介護の仕事内容は、介護者ひとりひとりに合った内容の介助をすることが求められます。

代表的な仕事内容は次の通りです。

入浴介助

入浴は1日に1~2回行います。

入浴中は転倒しないよう、また、ケガしている個所をお湯に濡らさないよう気を付けながら、入所者に合った温度調節も必要になり、体力を使う仕事です。

排泄介助

排泄は、人により時間や回数が異なり、深夜にしたくなることもあるため、慣れるまではなかなかタイミングが分からないこともあります。

また、介助レベルも異なりますので、入所者のストレスを軽減しながらなるべく自立できるように手助けすることも必要です。

食事介助

食事も、人それぞれ自分でできること手助けが必要なことが異なります。

また、好き嫌いや食べる順番など、好みに合わせた介助が求められます。

就寝介助

パジャマに着替えて寝るまでの介助を行います。

寝ることについてこだわりなどがある人もいますので、人それぞれに合わせた方法で行います。

レクリエーション

ゲームや趣味など、集団で頭や身体を動かして老化の防止や健康維持を行います。

特に、手を動かしたり声を出すことは脳が刺激されるので、楽しい内容を積極的に取り入れることが重要です。

リハビリ(リハビリテーション)

歩行やベッドから起きるなど自立できるように練習を行います。

医学的な側面でのリハビリは、理学療法士が行いますので、介護士は生活介助を通じてのリハビリとなります。

生活サポート

生活サポートは、主に訪問介護などで比重が多く、料理、掃除、洗濯、買い物などの日常生活に必要なサポートを行います。

家族とコミュニケーション

介護者を安心して預けてもらうために、家族とのコミュニケーションも仕事の一つとなります。

この人に預ければ大丈夫と思ってもらえるように、家族とも信頼関係を築くことが必要になります。

介護記録の作成

介護記録は、ケアプランに沿って適切な介護サービスを行ったことを、正確に記録するもので、後日、介護職員だけでなく介護者の家族が見ても分かるように、具体的に書く必要があります。

介護はどこで働くの?

有料老人ホーム

高齢者のための各種サービス付きの住まいをいい、その中でさらに「介護付有料老人ホーム」、「住宅型有料老人ホーム」、「健康型有料老人ホーム」に分かれます。

介護付有料老人ホームでは介護サービスが中心となり、住宅型有料老人ホームでは介護より生活支援が中心となり、健康型有料老人ホームでは介護サービスがなく、要介護状態なると退去しなければならず、日本全国に10件程度しか存在しません。

介護老人保健施設

リハビリと医療により、自宅復帰することを目標とする施設をいい、介護サービスはそれほど必要でなく、リハビリが主なサービスです。

また、3か月ごとに継続か退所の審査が行われ、入所からから3~6ヵ月後に退所する場合が多いです。

特別養護老人ホーム

地方公共団体や社会福祉法人などが運営する、寝たきりなどの方が入居する公的な介護施設をいい、入所には原則として要介護3以上と条件が厳しいが、入所者3人に対して、看護職員または介護職員を1人以上配置することが義務付けられています。

また、公的な介護施設なので月額10万円程度と安く利用でき、その半額が医療費控除対象となるため入所待ちが多くなかなか入れないのが難点です。

認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

介護や生活サービスを受けて、食事などは自分たちで行い、5~9人の共同生活でリハビリやレクリエーションなどをしながら生活します。

グループホームでは、自宅のような環境で自立に向けたサポートをする特徴があります。

デイサービス(通所介護)

自宅で暮らしている介護度の低い高齢者を対象に、食事や入浴などの介護サービスと機能訓練、レクリエーションなどを行う日帰りの介護サービス施設をいいます。

朝、自宅までワゴン車で迎えに来て、夕方、自宅まで送ってくれます。

デイケア(通所リハビリテーション)

老人保健施設や病院などの医療施設で、自立した生活を送れるようにリハビリなどを行う日帰りの介護サービス施設をいいます。

朝、自宅までワゴン車で迎えに来て、夕方、自宅まで送ってくれるのはデイケアと同じですが、デイサービスに比べて、介護サービスよりリハビリに重点を置いたサービスをしています。

訪問介護

介護を必要としている利用者の家に訪問して、入浴介助、排泄介助、食事介助などの身体介助や掃除、洗濯、調理、買い物などの生活援助を行いながら、自立できるように支援します。

訪問介護員(ホームペルパー)は、「介護職員初任者研修」以上の資格を取得している必要があり、また、サービス提供責任者になるには、「実務者研修」資格を取得していることが望まれます。

介護で働くには?

介護で働くためには、特に資格がなくても可能ですが、無資格だと仕事内容が補助的な事に限られますので、早めに「介護職員初任者研修」を受けておく方がよいでしょう。

介護の資格

介護福祉士までのステップアップ

介護職員初任者研修

旧ホームペルパー2級で、介護の入門的資格として、入浴介助、排泄介助、食事介助を含めた全ての介助業務をすることができます。

★受験資格

特になし

★研修内容

130時間の研修(自宅学習と実技学習)なので、週5日ペースで1か月、週2日ペースで3か月間の受講期間で、研修の最後の修了試験に合格することで、資格が取得できます。

★費用

研修費用は6~7万円。(ハローワークの教育訓練給付制度で20%給付可能)

また、都道府県市町村などで支援制度があるところもあります。

なお、失業中の場合は、ハローワークの職業訓練(ハロートレーニグ)で、テキスト代などの実費は自己負担ですが、受講料無料で取得することができます。

(下に続く)

実務者研修

介護職員初任者研修の上位資格で、介護福祉士試験(実務経験3年が必要)の受験資格を得られるほか、訪問介護のサービス提供責任者になれます。

★受験資格

特になし

★研修内容

450時間の研修(介護職員初任者研修取得者は、130時間免除され320時間)なので、介護職員初任者研修を取得していれば、3~6か月間もあれば終了可能で、研修の修了試験に合格することで、資格が取得できます。

★費用

研修費用は介護職員初任者研修取得者の場合、10~12万円。(ハローワークの教育訓練給付制度で20%給付可能)

★特典

介護の実務経験3年以上があれば、介護福祉士の受験資格が得られます。

介護福祉士

介護の国家資格で、介護員(ヘルパー)の指導やリーダー、責任者としての役割を担います。

また、利用者や利用者の家族からの相談を受け、アドバイスを行うことも求められます。

★受験資格

介護福祉士の受験資格は、次のいずれか一つが必要です。

  • 介護福祉士養成施設(2年以上)
  • 福祉系大学(または、社会福祉士、保育士養成施設)+介護福祉士養成施設(1年以上)
  • 介護の実務経験3年以上+実務者研修修了

★試験内容

筆記試験(上記1~3の場合、実技試験免除)

(下に続く)

介護福祉士へのステップアップ

介護職員初任者研修を取得したら、実務経験を積みながら、「実務者研修」、そして国家資格の「介護福祉士」へとステップアップの道があります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)への転身

介護福祉士からは、将来的に介護支援専門員(ケアマネジャー)に転身することができます。

介護支援専門員は自分では直接介護を行うことはなく、介護者の相談やケアプランの作成など、アドバイザーとして活躍することになります。

実務経験で培ったノウハウと活かして、「どんな介護が必要なのか?」「どこの施設が適切か?」を適切に判断し紹介する役割が期待されています。

介護職の給与

給与(月収)の相場は、経験年数と保有資格によって異なりますが、上位資格の取得によって給与が増える傾向があります。

  • 介護職員初任者研修:20~22万円
  • 実務者研修:21~23万円
  • 介護福祉士:25~28万円
(下に続く)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

高齢化社会では、介護の仕事の重要性が増えてきます。
ただし、介護を目指すなら、「初任者研修」より「実務者研修」、「介護福祉士」と上位の資格を取ることで給与もポジションも上がってきますので、長く務めるのなら1日も早く上位資格を取ることをおススメします。

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