(2020-7-31更新)
求人票で見かけることが多い「社内SE」どんな仕事かお分かりですか?
「企業内のシステム開発をする人たち?」
「仕事が楽そう」
SE(システムエンジニア)と名付けられているので、自社内のシステム開発をする人と思いがちですが、実は、通常のSEとは全く仕事内容が異なるのです。
それどころか、会社によってはSEよりは、パソコン先生のような扱いをされる場合があります。
今回は、いまいち分からない社内SEの仕事内容を徹底解説します。
社内SEとは
自社で使用する情報システムの企画、構築から、管理を行う職業の人たちのことをいいます。
情報システムと一口に言っても、業務システムやツールなどのアプリケーションだけでなく、社内LAN/WAN(※1)ネットワーク、さらに、社員の使うPCやタブレット、携帯電話などの幅広いIT機器・ツールを全て扱う社内のIT屋と言い換えられます。
(※1)LANとは、Local Area Networkの略で、建物・敷地内で構築されるコンピュータネットワークのこと。WANとは、Wide Area Networkの略で、LANよりも広く、企業で言えば、離れた拠点を結ぶコンピュータネットワークのこと。
社内で使用するあらゆるIT資産を管理する
- アプリケーション
- ネットワーク
- PC、タブレット、サーバー
- コピー、FAX、携帯電話
社内SEの仕事内容
社内SEの仕事は大きく分けて、情報システムの構築や管理と、ヘルプデスク、IT統制に分けることができます。
1.業務システムの企画・構築
企業の経営計画に基づき、必要な業務システムの企画・構築することで、構築には自社で行う場合と、外部のSIer(※2)やソフトハウス(※3)などに依頼する場合があります。
業務システムといっても、初期段階では、勤怠管理や経理システムが中心でしたが、後に受注・発注システム、販売・売上システムを経て、工場の生産や物流などに広がり、いつの間にか、企業のモノやお金が流れるところが全てシステムで管理できるようにる、いわゆるERPシステム(パッケージ)(※4)が構築されました。
(※2)SIer:システムインテグレーター(Systems Integrator)の略で、情報システムの設計、開発、保守を一括して請負う企業のことを。(※3)ソフトハウス:ソフトウェアの自社開発や受託開発を行っている企業のこと。
(※4)ERPシステム(パッケージ):企業の経営資源の効率化を図るために、経営資源を統合的に管理するシステムのこと。
2.業務システムの導入、保守・管理
社内SEの重要で難解な仕事といえるのが、開発した業務システムの導入です。
何故、重要かというと、開発した業務システムをユーザー(自社の社員)に使ってもらい、業務を効率化することが目的なのに、使ってもらうという所でつまずくことが、多々あるからです。
つまり、社員にとって新しいシステムを使うことは手間なので、容赦なく拒否してくるからです。
「めんどくさい」、「手間がかかる」、「やり方が分からない」などと文句を言う人は少なくありません。
このためには、導入目的やメリットを説明して、ユーザーマニュアルを整備して、ひとりひとりの社員に実演して理解してもらうという、途方もない作業が待っているのです。
また、導入後も安泰でなく「ここが使いづらい」、「エラーが起きた」と、ちょっと何かあれば、電話1本で呼び出されてしまいます。
これは、社内SEが自社の人間なので、ユーザー側も苦情を言い易いからですが、ここをおろそかにすると、せっかく導入した業務システムが形骸化して、使い物にならないものになります。
3.パソコン、タブレットなどのハードウェア選定・導入・管理
社内SEと「SE」の名前が付いていても、企業からするとIT屋のイメージがあり、自社で使うパソコン、タブレット、電話、FAX、コピー機などのIT機器全てを任さられる場合が多いです。
これらハードウェアだけでなく、OFFICEやメールなどのアプリケーションまでの選定、導入・管理まで行う、「ITなんでも屋」と勘違いされることが、社内SEにとって辛いことです。
余談ですが、管理人が勤めていた会社では、電話・テレビ会議やプロジェクターなども社内SEが担当しており、複数拠点間会議の時には、準備や片付けで大忙しでした・・・。
4.自社サーバーの選定・導入・管理
自社のアプリケーションサーバーやファイルサーバー、またはバックアップサーバー(ストレージ)などの選定・導入・管理も社内SEの業務範囲です。
サーバー管理は外部委託する企業もあれば、全部内部で管理する企業もあります。
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5.LAN/WANの選定・導入・管理
LANなどの社内ネットワークから、複数拠点間のWANに至るまで、インフラの構築、管理も社内SEの業務範囲になるので、幅広い知識が必要です。
人それぞれ強い分野があり、アプリケーションなどのソフトウェアは強いけど、ハードウェアは詳しくない、ましてやネットワークは全く分からないという人もいると思いますが、社内SEは、全ての知識を広く求められます。(そのため、広く浅くになりますが・・・)
6.IT全般ヘルプデスク
パソコンの使い方から業務システムのトラブルまで、何かあれば社内SEが対応するので、会社によっては、業務の大半がヘルプデスクの場合もあります。
特に、年配社員のエクセルの使い方が分からないとか、メールの添付の仕方が分からないなどの、初心者向けパソコン先生も社内SEの仕事です。
忙しい時に「ファイル消しちゃったので戻して!」という依頼にも、ちゃんと対応できる懐が深い人でなければなりません(笑)。
7.IT統制
企業の情報漏洩や不正アクセスなどを防止するためのIT統制(※5)も社内SEの業務範囲に含まれます。
近年、外部からの不正アクセスにより、企業機密が社外に流出してしまったというニュースを良く耳にしますね。
時間とお金をかけて開発した技術情報や営業ノウハウなどが、外部に流出してしまったら企業は大損害です。
こんな被害を防止するために、企業機密にアクセスできる人を限定したり、アクセスログを記録・監視したりして、社外からも社内からも、情報漏洩などが発生しない仕組みを構築することが求められています。
(※5)IT統制とは、企業の情報システムを統制(管理、監視、記録)し、その健全性を保証する仕組みのこと。
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社内SEの給料とステップアップは?
社内SEの給料は、他のITエンジニアの給与体系と異なります。
社内SEの企業での位置づけは、管理部門の一員なので、給与体系もその企業の管理部門の給与になります。
したがって、20代の頃は給料が低いですが、30代、40代とどんどん昇給し、定年まで働くことができますので安定しています。
社内SEからのステップアップは?
社内SEは、基本的に、定年まで安定して働ける仕事なので、他の職を目指さないことが多く、職業柄、長く勤めれば勤めるほど重宝されるので、目移りせずに、自身の専門知識を深めることに注力することがベターです。
ただし、自分の得意分野がある場合は、その得意分野を活かした職業に転職することは、ステップアップとして良い選択肢です。
社内SEが持っていた方がいい資格
社内SEは、ひとつの専門分野を深くというよりは、幅広い分野を「それなりに」広く知っている必要があります。
まずは、取引先のベンダーやSIerたちと専門用語で会話できるようになることを目指してから、「ここだけは負けない」という得意分野を持つことが、自分の存在意義を出すために必要です。
社内SEが持っているべき、王道といえる2つの資格です。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
共に、(独)情報処理推進機構が行っており、試験は年2回(4月、10月)です。
まず、基本情報技術者試験を受けて、次に応用情報技術者試験を受けることをお勧めします。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
社内SEは、「パソコンに詳しい人」というイメージをお持ちの人も多いと思います。
でも、実際は、会社の人たちが安心してシステムや共有ファイルを使ったり、ウイスルなどからメールを守ったりと縁の下の力持ちとして働いているのです。
決して、「エクセルの操作を教える」ためにいるのではないことが、お分かりいただけたと思います。
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