(2020-7-17更新)
人事に対してどのようなイメージをお持ちですか?
「うちの部署には、中途採用社員でまともな人物が来ない」
「人事は人を見る目がない」
確かに、採用した人物が仕事ができなかったり、すぐ辞めてしまったりすると、「人事はどこを見て採用しているのか」と否定的に思ってしまいますね。
ところで、人事の役割って、面接や採用だけだと思ったら大間違い、人事の実力次第で会社の将来が変わるといっても、言い過ぎでありません。
実際に、この人物なら大丈夫と思って採用しても、まったくダメだったという事がよくあるのも事実です。
今回は、人事の仕事内容と難しさについて解説します。
人事とは
企業の経営方針・目標に従って、人材の配置や採用を計画・採用し、人材を教育し評価するなど、会社の人材を最適化する部署をいいます。
人事の仕事内容
人事の仕事内容は、大きく分けると4つあります。
- 人事企画(政策)
- 採用
- 教育・研修
- 評価(処遇)
ただし、会社の規模や事業部制など、会社の事情によって業務内容は変わり、中小企業だと人事部門が無く、「総務」が人事を兼務する会社も多いです。
また、人事が労務の仕事を行う場合もあります。
【 労務の仕事を行う場合 】
- 勤怠・給与
- 社会保険
- 労務管理(雇用契約、労働トラブルなど)
では、具体的に仕事内容を説明していきます。
1.人事企画(政策)
会社の経営方針・目標に従って、会社の人材を最適な場所に配置することや採用計画を企画する、いわゆる適材適所を行うなど、会社の利益が最大になるような人事政策を行います。
2.採用
人事企画で作成した採用計画や急な欠員を補充するために、人材の募集や面接、採用まで責任をもって行います。
採用するには、配属先の仕事内容を知っている必要がありますし、どんな人物が欲しいのかなど、配属先と連携していないと、採用のミスマッチを起こしてしまいます。
3.教育・研修
新規に採用した従業員に対し、社会人としてのマナーやルールを教育したり、会社や業界の基礎知識の研修をしたりして、部署に配置するまでの教育や研修をします。
また、既存従業員に対しても、入社5年目研修や係長研修など、様々なステージ毎に最適な研修を企画・実施します。
4. 評価(処遇)
昔は、年功序列賃金体系で、社員の評価制度はそれほど重要度が高くなかったですが、現在は成果やプロセスを適切に評価して、頑張っただけ給与に反映される制度を用意して、社員のモチベーションを上げる仕組み作りが不可欠です。
その結果、30代後半にもなると、年収の高い社員と低い社員の差が2倍になることも珍しくありませんが、企業も限られた人件費を適切に配分し、企業の利益を最大化せざるを得ないのです。
なお、人事が総務や労務の仕事を行う場合もありますが、総務と労務の詳細は関連記事をご覧ください。
【関連記事】
労務の仕事内容は勤怠・給与だけでない!福利厚生で社員を幸せに
人事のやりがいと難しさ
人事のやりがい
人事のやりがいは、何といってもこの2つに尽きます。
- 人事政策を経営層に提案し、認められた時
- 採用した人材が活躍した時
1.人事政策を経営層に提案し、認められた時
自分たちで、考えた人事政策が、経営層に受け入れられた時は、人事をやっていて報われたと感激します。
この人事政策は、机の上でただ計画表を作ると思っている人もいますが、社員の能力を分析し本人の意向も考慮しつつ、事前に関係部署に根回しをしたり、何度も調整したりして、やっと作ることができるものなのです。
大変だった分、「組織を動かした」と誇りに思う瞬間です。
2.採用した人材が活躍した時
自分が採用した人物が会社で活躍してくれると、自分の事のように嬉しいものです。
「入社後に大化けして大活躍した時は、俺は見る目あるな、うぬぼれてしまいます(笑)」
皆さんも、例えば昇進した時には、自分を採用した人事の所に挨拶に行ってみると、まるで我が子のように喜んでくれますよ。
人事の難しさ
人事もやりがいばかりでなく、もちろん大変や嫌な役回りをせざるを得ない時は、くじけそうになる事もあります。
- 部署の欲しい人物と採用した人物がミスマッチした時
- 社員をリストラなどで退職させる時
- 個人の秘密情報を知ってしまった時
- 特定の部署や人物と一線を超えて仲良くなれない時
1.部署の欲しい人物と採用した人物がミスマッチした時
「うちの人事は、人を見る目がない」
たった一人、部署が望む人物と違う人物を採用してしまっただけで、悪く言われたい放題なのが人事です。
それが原因で、部門目標が未達になれば、全て人事の責任にされると言ったら大袈裟ですが、保身の強い管理職からは、何かにつけて人事を悪者にしたがる傾向があるので、くじけず割り切る気持ちの切り替えが必要です。
2.社員をリストラなどで退職させる時
業績がいつも右肩上がりならいいのですが、どうしても不採算事業・部門を閉鎖させなければならない時があります。
「個人的に親しくしていた人をリストラさせた時は、相手の顔をまともに見ることができませんでした・・・」
リストラさせる役目は、本当に辛いものです。
もっと悲惨だったのは、事業所を完全に閉鎖した時の人事で、
「事業所全員をリストラする悪役を行った後に、自分もリストラされるという現実」
3.個人の秘密情報を知ってしまった時
人事は、全員の履歴書や慶弔などの個人情報を管理しているので、嫌でも個人情報を見てしまいます。
また、悪い噂を流してくれる人もいるので、秘密を厳守しつつ、先入観を捨てて全社員と接するように努めなければならないのです。
4.特定の部署や人物と一線を超えて仲良くなれない時
人事政策や処遇の平等のため、特定の部署や人物とあまりにも親しくならないように、気を使う必要があります。
特に、親しい人が昇進や昇格、昇給すると、それが本人の実力でまっとうに評価した人事であっても、「仲がいいから」と陰口を叩かれてしまいます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
人事は大変だけど、こんなにもやりがいのある仕事は、なかなかありません。
「責任重大ですが、やりがいがある仕事なんです」
そんな人事は経営層に近いところで人員の採用、配置、評価を行っている関係上、日常的に役員や部長、課長クラスと意見交換するをすることができるので、将来、経営者になりたい人には、もってこいの仕事ではないでしょうか。
20代・30代の若手が経営陣と気軽に情報交換できるなんて、周りから見れば羨ましいことですから。
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