(2020-5-10更新)
労務の仕事内容って、勤怠や給与以外にご存知ですか?
「うちの会社は労務がなく、勤怠を人事がやっている」
「福利厚生かな?」
労務=労働管理と考えている人も多く、イマイチ仕事内容が分からないのが労務ですが、今回は、労務の仕事内容と重要性、どんな人が労務に向いているかを解説します。
労務とは
勤怠や給与、福利厚生、労務管理、労働環境整備などの労働者が快適に働くことができる環境や仕組み作りを行う部署のことをいいます。
ただし、会社の規模により、人事や総務が労務の仕事を行う場合があり、特に、中小企業では総務が労務や人事の仕事を行うこともあり、会社により行う部署は異なりますが、労務の仕事自体は会社に必要なので、どこかの部署が必ず行っています。
労務の5つの仕事内容
労務の仕事内容は、勤怠・給与、社会保険、福利厚生から、労働者が快適に働ける環境構築を行う安全衛生に、労働組合との調整や労働トラブルの解決を行うなど多岐にわたっています。
- 勤怠・給与
- 社会保険
- 福利厚生
- 安全衛生
- 労使調整、労働トラブル対応
1.勤怠・給与
労働者の勤務時間を記録・把握して、正確に給与を計算して支払います。
そして、適切に労働時間や残業時間を把握して、過度の残業を行っている労働者にヒヤリングや面談を行って、労働者の健康管理も行うことが望ましいですが、なかなか手が回らない会社も多いと思います。
また、所得税や年末調整の計算と申告も労務の仕事ですので、ミスが許されない正確な仕事が要求されます。
2.社会保険
社会保険というと、健康保険を思い浮かべるかもしれませんが、次の5つの保険の総称の事です。
- 健康保険
- 介護保険
- 年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
また、これらの保険の加入や脱退などを、年金事務所やハローワークなどに申請するなど、関係機関へのやり取りも行います。
3.福利厚生
福利厚生は、給与以外の金銭的価値のある経済的支援やサービスのことで、労働者の勤労意欲を高めたり、心身の健康の維持をめざしたりするものです。
≪福利厚生の一例≫
- 社宅、社員寮
- 社員食堂、食事補助
- 資格手当、住宅手当など
- 勤労者財産形成貯蓄(財形貯蓄)
- 社内行事、社員旅行
4.安全衛生
安全衛生とは、労働安全衛生法などに従い、労働者が安全に仕事をできる環境を作ることと、労働者の心身の健康を維持するために、健康診断やメンタルヘルスなどを行うことをいいます。
また、就業規則などの会社の規定類も作成し、文書面と仕事環境面と合わせて整備し、労働者の安全を守る仕組みを構築します。
5.労務管理(労使調整、労働トラブル対応)
労働者を雇い入れた時の労働条件通知書を交付して、雇用契約書を締結します。
また、労働組合との交渉・調整や、労働トラブルが発生してしまった時に、本人、労働基準監督署などの関係省庁を含めた調整などを行います。
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労務で働くためには
労務に向いている人は?
労務の仕事でみてきたように、関係機関や労働組合などとやり取りすることが多く、
- コミュニケーションが取れる
- 物事を公平な立場で判断する力
が特に求められます。
また、表舞台で活躍するというよりは、裏方で地味な仕事が多いので、事務作業をコツコツできる人が向いています。
労務の資格・スキル
社会保険労務士
労務が取得したい資格は、国家資格である社会保険労務士(社労士)があり、労務管理や社会保険の専門家として評価が高い資格ですので、労務で働いている人だけでなく、総務や人事で働いている人も取得しておきたい重要資格です。
労務の必須スキル
労務にとっての必須スキル・知識は以下の通りです。
- 労働基準法、労働安全衛生法の知識
- コミュニケーションや交渉力
- 物事を客観的に分析する力
- メールやExcel、Wordなどの基本的な操作
法律の知識が必要なのはわかりやすいと思いますが、例えば、労働トラブルが起きた時に、事実を客観的に見て判断できないと、一方の当事者に不利な判断をする可能性があるので、客観的な証拠に基づく客観的な判断をすることが重要です。
また、労働組合や関係機関とのやり取りや交渉が日常的にあるので、コミュニケーション力や求められ、また、関係機関に様々な書類を提出するので、ExcelやWordを含めた基本的なPC操作ができた方がいいでしょう。
労務からのステップアップ
社会保険労務士として独立
会社で、労務の仕事をしながら社会保険労務士の資格を取得し、社会保険事務所を開業することができます。
開業後は、労務管理や社会保険のプロとして、社会保険や給与手続き代行、企業のコンサルトとなり報酬を得て生計を立てます。
人事へのステップアップ
人事は、採用・面接・配置などの人事政策や社員研修、処遇(評価)などを行いますが、労務とも密接なので取り掛かりやすく、普段の業務でも連携しているので仕事内容も分かっているので、自分の守備範囲を広げるには丁度いいステップアップ先です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
労務は「縁の下の力持ち」として、従業員の給与や福利厚生など「会社生活で快適な環境」を作るために日々努力しています。
少しでも、労務の苦労が分かっていただければ幸いです。