(2020-7-23更新)
普段SNSやメールを使うことが多いので、改めて手紙を書く時になると、手紙の定型文が思い浮かばないですね。
「季語など定型文が苦手」
メールは、単刀直入に用件のみをかいても問題ありませんが、手紙は季語や頭語・結語などの決まったフレーズが不可欠です。
特に、ビジネスで使用する場合、相手に対して失礼にあたることがないように気を付けないと、「マナーの知らない人」と思われてしまい取引に影響が出ることだってあります。
ただし、手紙の形式的表現は、実は簡単なのです。
今回は、手紙の必須の「拝啓」「敬具」の意味と使い方を解説します。
拝啓と敬具の意味
拝啓は頭語
拝啓(はいけい)は、手紙の書き出しに使うので「頭語(とうご)」と呼ばれます。
辞書的には、「謹んで申し上げます」の意味があり、これからお伝えしたいことがありますと、自分を敬う丁寧な表現です。
実際のビジネスの現場では、多くの人は意味は意識しない(知らない)で定型文として使われているのが現状です。
返信には「拝復」
「拝啓」で送られてきた手紙の返信をする場合、「拝復」に変えて送りますが、使っている人はほとんど見かけません・・・。
拝復は返信に使うもので、拝啓と同じように「謹んでお返事申し上げます」の意味を持っています。
- 拝啓:かしこまった手紙の頭語
- 拝復:拝啓の手紙への返信
敬具は結語
敬具(けいぐ)は手紙の結びに使う言葉で、「結語(けつご)」と呼ばれて「謹んで申し上げました」の意味を持っているので、拝啓とセットで使用しないと変な手紙になってしまいます。
- 拝啓+(時候の挨拶)+敬具
- 拝復+(時候の挨拶)+敬具
より丁寧なメールは「謹啓」と「敬白」を使う
拝啓と敬具も十分丁寧な表現ですが、大切なお客様や自分よりはるかに上の役職の人に手紙を出すときは、「謹啓」と「敬白」を使うと、最大の配慮が感じられる挨拶になります。
使い方は、「拝啓」と「謹啓」に、「敬具」を「敬白」に置き換えればOKです。
「謹啓+(時候の挨拶)+敬白」
「前略」「草々」はビジネスで向きではない
また、「前略」と「草々」も見かけたことがある人も多いと思います。
これは、挨拶をする時間を惜しむほど「急いで伝えたいことがある」「取り急ぎ」という意味があり、敬意や挨拶言葉を省く手紙に使うものなので、ビジネスで使用する場面は限られています。
- 親しい間柄
- お詫びや謝罪の手紙
拝啓と敬具使用例
それでは、上記で個別に解説しても分かりにくいので実際の使用例で使い方を見ていきたいと思います。
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
(本文)
まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
「拝啓○○様」は本来おかしい
テレビなどで、「拝啓 ○○様」というのを使っているのと見たことがあると思います。
50年以上前に映画で使われたのが始まりのようで、最近ではテレビCMでも頻繁に使われていますが、本来は、
「拝啓 時候の挨拶 敬具」
という使い方をすべきなので、テレビで放送されているから違和感が無いかもしれませんが、ビジネスで使うのは正しくないと考えます。
メールでは別の挨拶言葉を使う
仕事では、毎日何十通ものメールを出すことも珍しくないほど、メールが多用されていますが、メールでは「拝啓」「敬具」は使う必要はないのをご存知ですか?
「そういえば、メールでは拝啓を見かけない」
では、メールでは挨拶言葉が不要かと言うとそうではなく、拝啓と敬具の代わりに次のような定型文が使われています。
- 拝啓→「いつもお世話になっております」
- 敬具→「それでは失礼いたします」、「取り急ぎご連絡まで」
同じ文字でのやり取りなのに、手紙とメールでは、マナーが異なりますので、使い分けられるようになりましょう。
就活、転職で使う場面
手紙を使うのは入社後だけではありません。
就活や転職活動中でも次の場面で使う必要がありますので、しっかりマスターしておきましょう。
- ES、履歴書、職務経歴書の郵送
- 内定承諾書の郵送
- 内定者研修などの課題提出
- 入社手続き書類の提出
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ビジネスでは、普段メールを使っているからこそ、手紙を受け取った時のありがたみを感じることができると思います。
そんな場面でも、「普段使っていないから見よう見まねで」送ってしまうと、先方から失笑を買われてしまうかもしれません。
特に、大事な場面で使う「お礼状」などの手紙は、取引や人間関係に影響を及ぼす可能性がありますので、しっかりと理解して使いこなせるようになりましょう。