みなさんは「ご覧になる」という敬語を正しく使える自信がありますか?
「見る」の丁寧な敬語表現だと分かっていても、
- 書類をご覧になりました
- 書類を拝見しました
- 書類を見ました
上記は、どれも「見る」の敬語ですが、使い方が異なるのです。
なんとなく使っていると、もしかしたら間違えて使っているかもしれませんよ。
今回は、「ご覧になる」の正しい使い方と例文を解説します。
「ご覧になる」は就職活動やビジネスの場でも頻繁に使う敬語
就職では、履歴書・職務経歴書・会社案内・各種手続き書類などを、相手に見てもらう場面で使います。
特にビジネスでは、資料や報告書・企画書・契約書など、多くの書類やメールなどをやり取りする場面で使うので、間違って使ってしまうと「敬語も使えないのか」と見下されてしまいます。
「見ましたか?」では幼稚と思われる
敬語を使い慣れていないと「丁寧語」で会話してしまう人もいますね。
丁寧語は、語尾に「です」「ます」を付けて表現する敬語で、日常会話なら通用しますが就職やビジネスの場では、丁寧語だけでは敬意が足りないので不適切です。
それだけでなく、「あいつ敬語知らないのか・・」と思われてしましますよ。
「尊敬語」「謙譲語」と併せて丁寧語を使うことが正しい敬語表現だからです。
「ご覧になる」は「見る」の尊敬語
本題の「ご覧になる」は、「見る」の尊敬語で、お客様や目上の人が「見る」時に使う敬語表現です。
「見る」には敬意の意味が込められていませんので、そのまま使う「ため口」と変わらず敬語ではないからです。
尊敬語は相手の動作を高める
尊敬語とは、相手の動作を高めて敬意を表す敬語表現で、お客様や目上の人に対しては避けて通ることができない言葉遣いです。
「ご覧になる」の例文
「履歴書をご覧くださいますようご願い申し上げます」
「課長が資料をご覧になりました」
前者は「ご覧下さいますようご願い申し上げます」と長い表現になってしまいましたが、実際に履歴書提出する場面では、「ご覧ください」に「ご願い申し上げます」を合わせることで印象が良くなります。
「ご覧になられる」は二重敬語でNG
敬語を使いなれていない人に多いミスですが、「お客様が企画書をご覧になられました」と「ご覧になる」に尊敬語の「られる」を付け加えてしまうことがあります。
ひとつの単語に2つの敬語を使わない
これは、尊敬語を重ねて使う「二重敬語」と呼ばれる過剰敬語なので不適切です。
本人は、より丁寧にと思って使っていると思いますが、受け取る側からは「頑張っているのは分かるけど違和感がある」と思われてしまいます。
ため口で話すよりはマシですが、敬語を詰め込めばよいというものでありません。
自分の動作に使うことはNG
尊敬語は相手の動作を高めるための敬語なので、自分の動作に対して使うことは間違えです。
例えば、お客様から書類を渡された時に、次のように使うことはできません。
(間違え敬語)「明日書類をご覧になります」
(正しい敬語)「明日書類を拝見いたします」
下で解説しますが、自分の動作を下げる時には「謙譲語」である「拝見する」を使う必要があるのです。
「見る」の謙譲語は「拝見する」
「拝見する」は、相手ではなく「自分が見る」行為をする場合に使う敬語表現で、自分の動作を下げる(謙遜する)「謙譲語」を使います。
この時に、「私がその書類をご覧になります」と言ってしまったら、自分に敬意を表すことになるので、話し相手に「この人は自分を尊敬しているんだ」と笑われてしまいます。
「拝見する」の例文
仕事では、メールや資料、報告書、企画書など「私が見る」行為は多いと思いますので、拝見するを自然に言えるようにしておきましょう。
「メールを拝見いたしまいた」
「御社のホームページを拝見いたしまいた」
「見る」の丁寧語は「見ます」
親しい間柄や先輩に対しては、「ご覧になる」を使うと堅苦しくなることもあると思います。
そんな時は、「見る」の丁寧語である「見ます」を使うこと方法もあります。
「先輩、昨夜あの番組を見られましたか?」
TPOに合わせて上手に使いたいですね。
「ご覧になる」を英語で言うと?
ビジネスでは外国のお客様に対しても「ご覧ください」という場面があると思います。
「look at~」だけだと失礼なので「Please look at」を使う人が多いですね。
ただし、まだきついニュアンスがあるので、「have a」か「take a」を入れることで柔らかい表現になるのでお勧めですよ。
【ご覧になるの英語表現例】
Please have a look at it.(どうぞご覧ください)
Please have a look at the document.(資料をご覧ください)
※haveをtakeに置き換えてもOKです。
「ご覧になる」の別の表現は?
「ご覧になる」は尊敬語であり十分に敬意が込められていますが、もっと丁寧な表現を使いたい場面もあると思います。
例えば、上客や役員相手に話す場合は、「ご高覧になる」「お目通しになる」を使うと、格式の高い尊敬語になります。
「本日、資料を郵送いたしまいた。よろしければ、ご高覧ください」
「お目通し頂ければと存じます」
また、「ご覧になる」を繰り返し使うことを避けるために、「ご高覧」「お目通し」を織り交ぜて使うことができれば、敬語上級者ではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。
「ご覧になる」は多くの場面で使う重要な敬語なので、しっかりマスターして使いこなしたいですね。
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 尊敬語:ご覧になる
- (同意語):高覧になる、お目通しになる
- 謙譲語:拝見する
- 丁寧語:見る
特に、尊敬語と謙譲語の使い分けだけでなく、同意語も口からスラスラ言えるようになりたいですね。
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