(2018-9-14更新)

定年退職して手に入れた退職金。

最近では、転職時に退職金をもらい、定年退職で2回目の退職金をもらう人もいると思います。

でも退職金に税金がかかることは知っていても、正しい知識がないと損する場合もあるのです。

今回、退職金の税金と申告方法について説明します。



退職金とは

退職金
退職金とは、企業が退職した労働者に払う一時的な金銭をいいます。

ただし、次の各項目も税務上退職金として扱われます。(主なものを抜粋しています)

  • 解雇予告手当
  • 未払賃金立替払制度で国から弁済を受けた金額
  • 使用人から役員になった人に対し、使用人であった勤続期間に係る退職手当等として支払われるもの

未払賃金立替払制度の詳細は、以下関連記事をご覧ください。



退職金の受け取り方法で税金が変わる

退職金は3つの受け取り方法がある

企業の制度により異なりますが、退職金の受け取りには次の3つの方法があります。

  1. 全額を一括で受け取る
  2. 年金形式で受け取る
  3. 一部を全額で受け取り、残りを年金形式で受け取る

年金形式がない企業も多く、あっても定年退職での退職の場合などに限られている場合もあります。

実は、受け取り方法で税金が変わるので注意が必要です。

退職時に受け取ると退職所得

退職時に退職金を受け取った場合、退職所得として手厚い退職所得控除額がありますので、通常は、退職金は全額を一括で受け取り、「退職所得控除額」を受けることで所得税が節税できます。

50代後半で退職金を受け取り、60歳で2回目の退職金を受け取る場合を除いて、退職所得控除を受けた方が所得税の節税効果大!

年金形式で受け取ると雑所得として総合課税

退職時に退職金を受け取らず、将来の年金として受け取る場合は、受け取った年に雑所得として公的年金等控除(65歳未満=70万円、65歳以上=120万円)を受けられますが、公的年金等控除を超えた部分は、他の所得と合算されて総合課税されます。

この公的年金控除は、国民年金と厚生年金の控除と同じ枠を使い、公的年金だけで枠を使い切りますので、退職金が入る余裕がありません。

ただし、退職金を2回以上もらい、通常の「退職所得控除」の枠がない場合は、公的年金控除を利用する方が有利です。

例えば、58歳で退所金を受け取り、その後60歳まで別の会社で働いて退職金を受け取った場合は、退職所得控除が2年分=80万円しかのこっていないので、退職金を年金形式で受け取り、公的年金控除を利用した方が節税になります。


退職金の税金

さて、次からは、退職金を一括で受け取った場合での税金の計算方法を解説します。

勤続年数に応じた退職所得控除

退職金には、退職所得として所得税が少なくなるように配慮されています。

勤続20年未満の場合

勤続年数が20年未満の場合は、次の金額が退職所得控除額となります。

40万円×勤続年数
(ただし、80万円未満の場合は80万円になります。)

勤続20年以上の場合

勤続年数が20年未満の場合は、次の金額が退職所得控除額となります。

800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職所得控除額一覧

一覧にすると次のようになります。

【 勤続年数による退職所得控除額一覧(抜粋)】

勤続年数 退職所得控除額
3年 120万円
5年 200万円
8年 320万円
10年 400万円
15年 600万円
20年 800万円
25年 1,150万円
30年 1,500万円
35年 1,850万円

勤続20年までは、1年ごとに40万円づつ控除額が増え、21年目からは70万円づつ控除額が増えます。

退職所得の計算式

では、退職所得の計算方法を見てみます。

退職所得は、上記で計算した退職所得控除額を差し引き、さらに1/2を引いた金額となります。
つまり、次の計算式となります。

((税金を引かれる前の退職金)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

例えば、勤続20年で退職金1,000万円の場合

退職所得=(1,000万-400万)×1/2=300万円

300万円に対して税金がかかることになります。

退職所得の税額

続いて、実際の所得税額を計算してみます。
退職所得の税額は、退職所得の源泉徴収税額の速算表の「195万円を超え 330万円以下」の式で計算します。
(出典:「国税庁ホームページ」別タブで開きます。)

税額=(3,000,000×10%-97,500円)×102.1%=206,752円

(下に続く)




退職所得の申請方法

会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するだけ

退職所得の申請はいたって簡単で、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するだけです。

おそらく会社が「退職所得の受給に関する申告書」を用意してくれると思いますので、住所、氏名、個人番号を書き、印鑑を押すだけとなります。

「退職所得の受給に関する申告書」の書式

もし会社が、退職業務に慣れてなくて、自分で用意する場合は、次のリンクから入手できます。

退職所得の受給に関する申告書」(出典:「国税庁ホームページ」別タブでPDFファイルが開きます)

「退職所得の受給に関する申告書」の提出期限

退職金を受け取る時までに提出します。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出し忘れたら

期限までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合は、退職金に20.42%の税率による源泉徴収が行われます。

この場合、後日確定申告をすることで、還付を受けることができます。

退職後の確定申告の必要性については、以下関連記事を参照してください。

退職翌年に住民税の納税がある

退職したら、翌年に6月に住民税の納税があるので、頭の片隅に入れておいてください。

住民税は、前年度の所得に応じて、翌年6月に課税される地方税なので、退職後に無職でも課税され、大体、前年度の年収が400万円の場合は、年額20万円ほどの住民税の納税義務があります。

住民税の詳細は、以下関連記事を参照してください。